専門医が教える手・指先・足先のしびれ【原因・症状・病気】

しびれは健康な方であっても、正座の後に生じる足がじんじん、びりびり、チクチクすることを言う場合もあります。しかし、それが正座もしていないのに、ずっとしびれが続く場合は何らかの疾患、病気が考えられます。一言に「しびれ」と言ってもその原因や症状、病気・疾患は多岐に渡ります。

今回はその多岐に渡る手・指先・足先のしびれの症状例、また原因、考えられる疾患や病気をご紹介します。

しびれは何科を受診すべき?

しびれにお悩みの場合、「神経」のトラブルが考えられますが、その診断を得意としているのは神経内科医です。お近くに神経内科があれば、相談することをお勧めします。

しびれは足先がしびれていても、病気の原因は足の先には必ずしもなく、足の先から脳にいたる長い経路のどこかに問題があります。しびれは、神経の障害だけでなく、電解質の異常や薬の副作用、心因性のものなど様々な原因が考えられ、丁寧な問診と診察が必要な症状です。

神経内科専門医のしびれ症状の診断方法

一般的に患者様が「しびれ」と表現した場合、その内容は大変多くの症状が隠れています。そのため、様々な可能性を考慮した上での問診が必要となります。

例えば、一般的な診察で患者様が伝えるしびれの言い方としては、「ピリピリ、ジンジン、チクチク、刺されるよう、電気が走る、焼け付く、鈍い、一枚皮を被ったようだ、麻酔がかけられたようだ、こわばる、力が入らない」など、一言で「しびれ」と言っても、様々な訴え、表現をされます。

私たち神経内科医は、問診で教えていただく全ての情報から、原因を探っていきます。

具体的にしびれの原因を特定するため、特にお伺いすることが多いポイントは、

・しびれが自発的なものか
・何かの刺激によるものか
・表面的なものか(例えば皮膚のしびれ)
・深部的なものか(例えば筋肉のしびれ)

という4点です。これらの症状によって、神経が原因か、筋肉が原因か、血行が原因か、などある程度絞り込むことが可能です。皆さんも受診される際はご参考ください。

しびれ症状の判断基準と主な病気とその原因

同じ疾患や病気だとしても、その障害度合いや病期によってしびれ症状の内容や表現も変化をします。

診断にも治療にも大切にしているお伺い事項として、しびれの表現とは別に「そのしびれがどれほど生活に支障をきたしているか」ということがあります。日常生活に支障があるほどのしびれであれば、急いで排除をする必要があり、早期治療の観点からも、非常に重要なのです。

中でもしびれによる

 「睡眠障害」

があるか否かは必ず伺っています。例えば、しびれを紛らわすために足を動かしたり、動き回ったりする症状があれば、その原因として「むずむず脚症候」が疑われます。この「むずむず脚症候」は比較的簡単に治療ができる症状ですので、気になった方はお早目の受診をお勧めします。

そしてその次に大切な診断基準は、そのしびれ方が

・急にしびれるか(急性か)
・じわじわと一定期間続くしびれか(亜急性か)
・常にしびれているか(慢性、潜在性か)
・繰り返されるしびれか(間欠的か)
・まったく予兆なく急にしびれるか(発作的か)

等により、さまざまな疾患・病気へと診断が分かれます。

上記の症状診断から考えられる、一部の疾患・病気をご案内します。

(あくまで一般的なものとなります。しびれ症状のご自身での判断は危険です。専門医へ受診ください。)

上半身がしびれる場合とその疾患

手や指先・足先のしびれ以外にも、たとえば上半身の一部にしびれを感じる場合に考えられる疾患や病気としては、

・脊髄神経から鎖骨・上腕・前腕・手へ繋がる腕の神経の疾患
・脳と体を繋ぐ脊髄・頚髄の神経である頚髄神経根病変
・脳血管障害
・様々な筋骨格系の疾患
・血行疾患
・皮膚疾患

等、こちらも様々なしびれの原因、症状が考えられます。

また自律神経症状がある場合は、不安や、心や感情が安定しない情動不安定などの心理的精神的症状を伴うこともあり、心因性疾患の可能性も含め診断を進めます。

 

次に、特にしびれのご相談が多い、手・指先がしびれる場合の原因と症状をご紹介します。

手全体・指先(親指~薬指)がしびれる!手根管症候群の可能性。

手根管症候群というものをご存じでしょうか。手のしびれを訴えて当院を受診なさる方の多くが、この手根管症候群となります。

手根管とは、手首の部分の骨と手根靭帯に囲まれた部分のことで、指を曲げる腱と正中神経が通過しています。 この手根管内で、何らかの原因によって正中神経(手の感覚、親指のふくらみ部分の筋肉を司る神経)が圧迫されることで、手首あたりの手根管で神経が圧迫され、手根管症候群が生じます。この手根管症候群はあらゆる年齢の男女に生じうる症状ですが、40歳以降の女性に多く、また当院では、よく手を使う職業や趣味をお持ちの方に見られることが多いです。

そして、手根管症候群が生じる原因としては、妊娠(妊娠糖尿病慢性腎臓病)、関節リウマチ、甲状腺機能低下症先端巨大症などをきっかけとする場合があります。

手全体・指先(親指~薬指)がしびれる!手根管症候群の可能性。

手根管症候群というものをご存じでしょうか。手のしびれを訴えて当院を受診なさる方の多くが、この手根管症候群となります。
手根管とは、手首の部分の骨と手根靭帯に囲まれた部分のことで、指を曲げる腱と正中神経が通過しています。 この手根管内で、何らかの原因によって正中神経(手の感覚、親指のふくらみ部分の筋肉を司る神経)が圧迫されることで、手首あたりの手根管で神経が圧迫され、手根管症候群が生じます。この手根管症候群はあらゆる年齢の男女に生じうる症状ですが、40歳以降の女性に多く、また当院では、よく手を使う職業や趣味をお持ちの方に見られることが多いです。

そして、手根管症候群が生じる原因としては、妊娠(妊娠糖尿病慢性腎臓病)、関節リウマチ、甲状腺機能低下症先端巨大症などをきっかけとする場合があります。

手全体・指先(親指~薬指)がしびれる!手根管症候群の可能性。
引用:https://www.joa.or.jp/public/sick/

手根管症候群の症状は特徴的で、手のひら面の指先のビリビリ・ジンジンするしびれや痛みが、夜間~早朝に徐々にひどくなり、目を覚ましてしまうほどのしびれ・痛みとなる場合もあります。

この症状は、手を振ったり、手首をさすったりすると少し改善する場合があります。指先のしびれは、一本だけ、二本だけしびれる…ということに限らず、全指にしびれ症状が出ることもあり、当院でしびれを訴える患者様の1/3程度は前腕から肩にかけてしびれを感じています。

しびれ方としては、朝から日中にはこわばり感を感じることがあります。感覚が過敏になることはなく、症状が軽い人では中指先にこわばり感がとどまる場合もあります。
その他の症状としては、手首近くをハンマーで叩くと、ジンジン、もしくはビリンとする強いしびれが人差し指や中指などに広がる「チネル徴候」と呼ばれる症状、

チネル徴候

チネル徴候
引用:http://www.ogoridaiichi.jp/shukon.htm

手首を強く曲げた状態を1分以上続けると、しびれや痛みが現れる「ファーレン徴候」と呼ばれる症状、

ファーレン徴候

ファーレン徴候
引用:http://www.ogoridaiichi.jp/shukon.htm

寒冷にさらされると、指先に「レイノー現象」が見られることがあります。

レイノー現象

レイノー現象
引用:https://www.msdmanuals.com/ja-jp/

これらの症状が進行すると、親指側の筋肉(短母指外転筋や母指対立筋)に筋力低下や筋萎縮が現れる場合があります。
<ご参考>

引用:http://www.i-l-fitness-jp.com/aboutbody/muscle/img/MB2-09-04.JPG

小指側の手、小指と薬指半分がしびれる!肘管症候群(尺骨神経障害)の可能性。

小指側の手、小指と薬指当たりがしびれるような感覚障害を起こす肘管症候群(尺骨神経障害)の最も多い原因の一つは、ひじの内側にある神経(肘部官)において、尺骨神経が慢性的に圧迫されたり、引き伸ばされたりすることで生じるものです。
小指側の手、小指と薬指半分がしびれる!肘管症候群(尺骨神経障害)の可能性。
この圧迫の原因には、ひじの内側にある神経周辺の靱帯が厚くなる、また、その付近のガングリオン(中にゼリー状の物質が詰まったしこり。米粒大~ピンポン玉大のものがあり)などによるものが考えられます。また、神経が引き伸ばされる原因には、幼少期の骨折によって生じた外反肘(前腕の軸が正常よりも外側を向いている状態)等があります。


引用:https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/ganglion.html

この尺骨神経障害の主な症状は、尺骨神経が影響を及ぼす小手筋(小指球筋.小指対立筋骨間筋など)と言われる小指側の手首から指までの部分の筋力低下と、小指、薬指半分と手のひらのしびれなどの感覚障害です。
初期の症状としては、手をポケットに入れるときに小指が引っかかったり、拍手をしても良い音が出なかったり、また洗顔時に手のひらから水が漏れたりというものが考えられます。

尺骨神経障害に似た脳梗塞にご注意!

上記で説明をした尺骨神経障害に大変よく似た小指側のしびれなどの感覚障害が、緊急性の高い脳梗塞で起きる場合がありますので注意が必要です。大抵は小梗塞であることが考えられますが、脊髄の圧迫により、その早期症状として、手や前腕の痛みやしびれを感じたり、冷たく感じたり、ピリピリするような感じが生じることがあります。

 

危険なしびれチェックはコチラ

 

神経内科の「丁寧」な問診理由

このように、しびれには数多くの疾患や病気が隠れている可能性があることを上記でご説明をしてきました。しびれを起こす原因を探るため、上記でご説明をした以外にも、これまでの病歴、過去服用していた薬の種類、ご家族の遺伝、ご職業、生活スタイル、家族構成など、さまざまなことをお伺いすることで、他の症状との関連を明らかにするよう努めることも神経内科の診断では大変重要なこととなります。

さらに、服用をされている、過去服用されていたお薬の情報はより丹念に調べる必要があります。特に、抗がん剤、抗生物質、ホルモン剤、免疫抑制薬、抗うつ薬、高脂血症薬、消化器用薬には、含まれる成分からしびれを起こしている可能性などもあり、特に注意をしてお伺いをしています。

「しびれ」と一言でくくったとしても、神経系以外の症状が原因だったり、神経系のものであっても運動系の他の系統の症状と一緒に影響が出ていたりする場合も多くあります。

しびれ症状を感じた際は、ご自身での判断は避け、神経内科専門医をお尋ねください。
大清水クリニックでは、神経内科専門医が在中しており、丁寧な診察によりしびれ症状にお困りの皆様の症状緩和に尽力しております。手・指先・足先のしびれにお困りの方は、ぜひお気軽にお越しください。

大清水クリニックでは、患者様の症状を和らげ、快適な毎日をお過ごしいただけるよう診療に努力いたします。
また大清水クリニックでは、子供の頭痛はもちろんのこと、めまい・しびれに悩む女性に寄り添った治療もご提案しています。
つらい頭痛・めまい・しびれ等にお困りの方は名古屋市緑区の大清水クリニックへお気軽にご相談ください。

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