物忘れの種類と危険な物忘れチェック 加齢とともに物忘れが起こるのは、ごく自然なことですが、ご本人や一緒に暮らすご家族にとっては心配の元でしょう。物忘れには、加齢によるものと病気によるものの2種類あり、認知症をはじめとする病気による物忘れの可能性もあります。 加齢による物忘れ 健康な方でも加齢とともに脳の機能が衰え、自然と物忘れが見られるようになります。加齢による物忘れは、忘れてしまったという本人の自覚があり、体験の一部が思い出せないという特徴があります。昨日食べた食事の内容をわすれてしまう、待ち合わせの時間を忘れてしまう、ものをどこにしまったか忘れてしまうなどの物忘れは、加齢によるものであり、認知症などの病気による症状ではありません。加齢による物忘れは、日常生活に支障がなく、症状の進行もしない、あるいはごくゆっくりすすむ傾向にあります。 認知症による物忘れ それに比べて、認知症の初期症状が原因の物忘れは、本人に忘れてしまったという自覚がなく、体験自体の記憶が抜け落ちてしまうのが特徴で、忘れていることをとりつくろおうとしたり、失くした物を「誰かが盗った」と疑うような妄想が見られることもあります。また、加齢による物忘れに比べて、進行性で徐々に悪化する傾向があります。 認知症による物忘れは、日常生活の中での変化としてあらわれます。こうした変化に早めに気づけるのは一緒に暮らすご家族です。早めに、物忘れ外来にご相談いただくことで、早期治療につがります。認知症の治療は、なるべく早い段階で正確な診断を受け、適切な治療方針を立てることが非常に大切です。 物忘れチェック 認知症のほかにも、慢性硬膜下血腫、正常圧水頭症、甲状腺機能低下症、老人性うつ病等の病気によって物忘れが起こる場合もあります。物忘れの程度がひどい、急激に物忘れが進む、物忘れだけでなく他の症状が伴っているなどが見られるようなら、一度物忘れ外来や神経内科でご相談されることをおすすめいたします。 何度も同じことを言ったり、聞いたり、行動したりする 曜日や日付がわからず何度も確認する 置き忘れやしまい忘れが多く、いつも探し物をしている 薬の飲み忘れや飲んだかどうかがわからなくなることがある 水道やガスなどの閉め忘れ、火の用心ができなくなった 物をなくして、盗まれたと人を疑うようになった 料理、片づけ、計算、運転ミスが多くなった 約束の日時や場所をまちがえるようになった 失敗を指摘されると隠そうとする ささいなことで怒るようになった 銀行や窓口でのトラブルが多くなった