頭痛の種類とチェック

頭痛を呈する疾患は大きく2つに分けられます。頭の中に何らかの大きな異常、たとえばくも膜下出血脳腫瘍などがある場合には、二次性頭痛と呼ばれそれ自体を脳外科で手術することが必要です。
また、慢性に頭痛を繰り返す疾患で、明らかな脳病変などを伴わない疾患は一次性頭痛と呼ばれます。頭痛を呈する疾患は国際頭痛分類第3版によって細かく分類されており、その分類は世界共通のものです。神経内科では二次性頭痛を鑑別し、もし二次性頭痛であれば適切に脳外科に紹介します。神経内科で扱うのは一次性頭痛であり、その中でも特に多い偏頭痛緊張型頭痛を中心に解説したいと思います。

偏頭痛

偏頭痛という名称は頭の片側が痛むことに由来しますが、実際には4割ちかくの片頭痛患者さんが両側性の頭痛を経験しておられます。偏頭痛は前兆の有無と種類により「前兆のある偏頭痛」と「前兆のない偏頭痛」など細かく分類されています。疑い例を含めると、年間有病率は8.4%と推定され、かなり患者数が多い疾患です。また、偏頭痛は女性に多いのも特徴です。
前兆は、頭痛より前に起こる症状で、キラキラした光、ギザギザの光(閃輝暗点)などの視覚性前兆が最も多くみられます。通常は20分以内に前兆が終わり、引き続いて頭痛が始まります。漠然とした頭痛の予感や、眠気、気分の変調などは前兆と区別して予兆といいます。

偏頭痛発作は通常4~72時間続き、片側の拍動性頭痛が特徴です。頭痛の程度は中等度~高度で日常生活に支障をきたします。また、階段の昇降など日常的な運動により頭痛が増強することも特徴のひとつです。悪心(吐き気)、嘔吐を伴うことが多く、頭痛発作中は感覚過敏となって、ふだんは気にならないような光、音、においを不快に感じる方が多いです。

偏頭痛の治療法

偏頭痛の治療は大きくわけて2種類あります。
頭痛発作が起こった時になるべく早く頭痛を鎮めるための治療法を急性期治療といいます。もうひとつは頭痛がない日もあらかじめ毎日お薬を飲んで、頭痛発作を起こりにくくし、また、頭痛発作が起こっても軽くすむようにするための予防療法です。急性期治療にはスマトリプタンを始めとするトリプタンが使用されています。比較的軽度の発作では、アスピリンなどの非ステロイド性抗炎症薬 やアセトアミノフェンが用いられます。また、偏頭痛の予防薬としては塩酸ロメリジンやバルプロ酸などが用いられます。

偏頭痛チェック

頭痛時の症状として、該当する項目にチェックを入れてください。

2つ以上当てはまる方は、偏頭痛の可能性があります。
「痛みがない時は受診しにくい」という方もいますが、いつ起こるか分からない偏頭痛ですので、早めに受診をしましょう。

緊張型頭痛

緊張型頭痛は反復性(月に15日未満)と慢性(月に15日以上、3ヶ月を超える)に分類されています。頭痛は30分から7日間続き、圧迫されるような、あるいは締めつけられるような非拍動性の頭痛で、多くは両側性です。頭痛の程度は軽度~中等度で、頭痛のために日常生活に支障が出ることはあっても通常は寝込んでしまうようなことはありません。
緊張型頭痛の原因としては、肩こり、口・顎部の機能異常、心理社会的ストレス、不安、うつ、妄想や妄想概念としての頭痛、筋性ストレス、頭痛に対する薬剤乱用などがあげられます。

緊張性頭痛の治療法

一般に緊張型頭痛には鎮痛剤が用いられます。筋弛緩作用を合わせ持つ抗不安薬を鎮痛剤と併用するとよいこともあります。
慢性緊張型頭痛では予防的に抗不安薬や抗うつ剤が用いられています。筋弛緩剤の併用が有効な例もあります。

当院では慢性頭痛に対して、頭痛日誌をつけてもらい、予防の薬と発作の薬をその患者様にあったものとなるよう吟味しながら選択し、快適な頭痛のない毎日を過ごしていただけるよう診断治療に注力しています。

緊張性頭痛チェック

頭痛時の症状として、該当する項目にチェックを入れてください。

2つ以上当てはまる方は、緊張性頭痛かもしれません。
対策を取ってみても、改善しない方は、受診をおすすめいたします。

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