「群発頭痛」という病名を聞いたことがあるでしょうか。
珍しいタイプの頭痛ですが、「痛みの王様」と言われるほどその痛みは激しく、殴られたような、目の奥をえぐられるような痛みを伴う頭痛です。
この頭痛は神経内科専門医にとって診断は難しくありませんが、頻度は非常に低く、頭痛の0.1%以下と言われています。それ故あまり知られておらず、大清水クリニックの患者さまの中には、当初頭痛本来の原因にたどり着かず、歯や副鼻腔などに痛みを感じる場合もあることから、歯科や耳鼻いんこう科等を受診し、なかなか頭痛が改善されないケースもありました。
群発頭痛の症状が起こった際は、私ども、神経内科専門医への受診を強くお勧めします。
今回は、あまり知られていない群発頭痛についての説明と、治療法や予防薬についてご紹介をします。
群発頭痛とは
群発頭痛の症状
群発頭痛とは、片側の目の周辺から前頭部、側頭部にかけての非常に激しい頭痛が数週間~数か月間群発することが特徴の頭痛です。
症状は激烈です。大清水クリニックで受診されている典型的な方は次のような症状です。夜中の2時ごろ頭にハンマーで殴られたような痛みで飛び起きるほど。とても激しくハンマーで連打されているような感じだということです。片目の奥が抉られるように痛く、そして特徴的な症状として、痛い方の目から涙がでる、鼻水が出る、鼻が詰まると言う症状が随伴していました。
一般的な症状をまとめますと、頭痛は厳密に片側だけ、歯まで痛みが広がっていることが半分ぐらいある、発作は夜中に起こりやすい、さらに特徴的なことに痛い方から涙や鼻水が出る。
さらに強烈な頭痛があるくも膜下出血や偏頭痛と異なり、群発頭痛の患者さんは発作時にのたうち回る、歩きまわる、頭を叩くなどの行動をします。くも膜下出血や偏頭痛の方は痛いのでじっとしているのと対照的です。
また自律神経異常により起こると考えられるめまいや吐き気なども併発します。
群発頭痛の発作
1回の発作は偏頭痛よりも短い、15分~180分程度と言われていますが、発作は群発頭痛と言うようにある時、毎晩のように起こります。発作は3時間程度で軽快します。ある程度の期間(数日から3週間ほど)で発作は終わり、その後は痛みが引きます。
群発頭痛は、発作が起こる「群発期」と、発作が起こらない「寛解期(かんかいき)」とが繰り返されます。季節性があり、発作の期間が、春や秋、といったように限定されていることがほとんどです。このように、1年のうち、決まった時期に頭痛発作が起こる場合も、数年頭痛発作が起こらない場合もあります。
頭痛の程度が非常に激しいので、生活支障度は高く、このように群発期と寛解期を繰り返す症例を慢性群発頭痛と呼びます。
群発頭痛の症例は男性が多い?
群発頭痛の発生率は人口10万人あたり9.8人程度と少なく、医師の間でもあまり認知が進んでいないタイプの頭痛です。
それ故、激しい頭痛発作で複数病院を受診されてもその症状が群発頭痛であると診断してもらえないことがあるようです。
先にも紹介したように、歯や副鼻腔も痛くなった経緯から、神経内科専門医ではなく、他の科を受診されてしまうケースもあります。
また、この激しい頭痛は下垂体潰瘍等が原因であることも考えられるため、より慎重な診断が必要とされます。
群発頭痛は特に20~30代に多く、男性が約85%を占めているとされていました。
しかし最近の調査では、女性の群発頭痛も稀ではなくなりつつあるとされています。
群発頭痛の治療法と予防薬
群発頭痛の発作時の治療としては、酸素吸入(マスクで純酸素7~10リットル/分、15分間)、スマトリプタンの皮下注射が効果的とされています。
注意としてスマトリプタンの経口投与は群発頭痛には効果がないことがわかっています。確定診断がついている方には自分で皮下注射ができるスマトリプタンのキットを処方することができます。発作時は繰り返しているように非常に激しい痛みを伴うため、自己注射キットを使用すると便利です。
群発頭痛の発作には、通常の鎮痛剤は効き目がありません。
予防薬としては、まずはベラパミルというお薬が標準です。効果がない方や、ベラパミルで副作用が出る患者さまにはステロイドを試みます。さらにリチウムも有効とされています。
群発頭痛は男性特有のものと考えられていましたが、昨今では女性にも症状が現れうるものだという認識が広がっています。
大清水クリニックでは、特に頭痛・めまい・しびれに悩む女性に寄り添った治療をご提案しています。
つらい頭痛・めまい・しびれ等にお困りの方は名古屋市緑区の大清水クリニックへお気軽にご相談ください。