【頭痛外来医解説】吐き気を伴う頭痛は偏頭痛?原因と緩和する対策

急に襲われる頭痛や吐き気を伴うめまい。ひどい時には日常生活がままならないことも。
しかし、二日酔いや寝過ぎ、生理後などでも起こる頭痛は、生活に密接に関係しているからこそ、ただ日常として症状を軽く考えてしまう場合もあると思います。
ですが、頭痛と吐き気が一緒に起こる場合は重症であるケースも多いので特に注意が必要です。
そして、頭痛や吐き気を伴うめまいの場合、原因はいくつか考えられますが、特に多いのが「偏頭痛」です。
偏頭痛は緊張型頭痛に続いて2番目に多い頭痛であり、頭痛に関連する嘔吐やめまいなど随伴症状が多い病気でもあります。
今回は偏頭痛の起こるメカニズムや原因、症状や緩和方法、治療法をご紹介します。
吐き気を伴うめまいとともに起こる偏頭痛を緩和させるヒントとしてください。

 

偏頭痛のメカニズムと原因

偏頭痛が起こる原因はいくつか考えられますが、大きく分けると二つの原因が挙げられます。
一つ目は血管が急な収縮と拡張を起こすことによる痛み。ストレスによって過剰分泌されると言われている「セロトニン」という物質が原因となって起こると考えられます。
二つ目は脳神経の中で最も大きい神経である「三叉神経」への刺激による痛み。これも血管の収縮と拡張、また炎症が大きな原因であるとされています。
偏頭痛は特に女性に多く症状が見られ、女性全体の15%が偏頭痛の症状に悩んでいると言われており、それと比較し男性の頻度は、その4分の1程度と考えられています。
大清水クリニックへ来院される偏頭痛の患者さまは、特に、雨が降ったり、台風が近づいたりなどの気圧の変化、また、暑い、寒いなど温度の変化、光の変化などによる環境的な要因に敏感になりやすく、とくに月経周期に過敏性が増します。
その他、空腹や睡眠不足、香水など強い匂いを嗅ぐ、大きな音による刺激等が偏頭痛を誘発する原因である場合もあります。
また、ストレスからの解放時(例えば、月曜日から金曜日まで忙しい会社での仕事を頑張った後、土、日曜日になりほっとした時等)が偏頭痛を誘発する原因になると言う皮肉な性質も見受けられます。
この誘因を分析して知っておくことが発作を減らす治療戦略上大きなポイントとなりますので、大清水クリニックでは患者さんに頭痛ダイアリーをつけていただき、誘因の分析を患者さんと一緒に考えます。
大清水クリニックでは、できるだけお薬に頼らない治療を心がけていますので、こうした分析はお薬を減らすのに大変役に立ちます。

 

偏頭痛の症状と緩和方法

偏頭痛の症状は一般的に繰り返し発作が起こります。そして頭痛以外にもいろいろな症状が現れることも偏頭痛の特徴です。
具体的には、気持ちが悪くなる、光に敏感になる、ふわふわする、嘔吐がある、閃輝暗点(せんきあんてん)の症状があるなどです。
大清水クリニックへ来院される偏頭痛の患者さまには、この閃輝暗点という症状を認める方が3割ぐらいおられます。この症状は、まぶしいキラキラと光るものが、視野の4分の1から半分程度まで、右半分や、左半分などに見られ、徐々に広がり、光の向こう側がぼやけて見えるか、あるいは全く見えないと感じられるようなものです。
このように、目の前にきらきらした光るものが見えたり、目がチカチカしたりするなど、物が見えにくくなる症状などから始まることが多く、およそ20分から30分程度でその症状が安定し、その後、だんだんと拍動性(脈打つよう)に片側、もしくは両方の頭が痛くなる(偏頭痛とは言いますが両方痛いことも半分ぐらいあります。)のが典型的な偏頭痛の症状です。
これらの症状は診断に決め手となるものです。
徐々に症状が悪化し、ひどい時は仕事や学校など、日常生活がままならないことも。そして頭痛のピークに嘔吐を伴うことが多いです。
緩和方法としては、家などリラックスできる場所の暗いところで、じっとしていることをお勧めします。
おおよそ半日から2日程度でよくなることが多いです。一度回復したら、問題なく日常生活に戻ることができることも特徴です。

 

偏頭痛の診断方法と治療法例

偏頭痛は、CTやMRI、血液検査や脳波検査は異常がありませんので、いわゆる検査で診断をすることができません。つまり、血液の検査で糖尿病と診断できたり、胃カメラの検査で胃潰瘍と診断できたりするものではないのです。

しかし、頭痛が強い際には脳腫瘍や脳出血を否定しておくため、CTやMRI検査が必要な場合があります。大清水クリニックではCT検査の設備がありますので、このような場合にはすぐ検査をすることができます。

そして診断方法ですが、患者さんの症状を詳しくお聞きし、さらに頭痛ダイアリーを記録してもらうことで、より正しい診断をすることができます。偏頭痛に似た症状の別の病気も多くあり、しっかり分けて診断していくことがより正しい治療につながります。

先ほどお話ししたように、大清水クリニックではお薬を出来るだけ使わずに、治療を進めたいと考えています。専門的には非薬物療法と言うものです。具体的には、規則的な生活習慣や健康的な食事、定期的な運動を心がけ、睡眠カフェインやアルコールの過剰摂取をやめ、急激なストレスの変化の防止に努めるなどです。あまり多くはありませんが、ワイン、ピーナッツ、チョコレート、チーズなどを食べると偏頭痛の発作が起こる方がいますので、これらの食物を避けていただく場合もあります。それ以外でも発作を誘発する食べ物がある可能性がありますので、頭痛ダイアリーを活用しながらその人その人の合わないものを発見していくようにしたいと考えています。

非薬物療法で発作が抑えきれない場合はお薬を使います。

お薬は大きく分けて発作が起こったときに飲む頓服薬と発作が起こりにくくする予防薬があります。

頓服薬はまずは一般的な鎮痛剤を使います。しかし本格的な偏頭痛が起こってしまうと一般的な鎮痛剤では十分な効果を得ることができない場合もあります。その時はトリプタンというグループの薬を処方します。日本では5種類のトリプタンが保険適用となっていて、使用が可能です。この薬は飲み方にコツがありその点も診察の時にご指導させていただきます。

また頻回に発作が起こる場合にはガイドラインに従い予防薬を使用します。予防薬も5種類ほど保険適用になっております。また、副作用もありますので、お一人お一人の患者さまに合わせ、相談しながら選択、治療に取り組みます。

 

症状が収まらない、いつもと違う痛みがあるなど違和感を覚えたら、「たかが頭痛」と自己判断せず、病院へ受診することをお勧めします。

頭痛は辛い思いをすることだけでなく、仕事や勉強にも障害となります。大清水クリニックではそのような患者さまの症状を和らげ、快適な毎日をお過ごしいただけるよう診療に努力いたします。

また大清水クリニックでは、頭痛はもちろんのこと、めまい・しびれに悩む女性に寄り添った治療もご提案しています。

つらい頭痛・めまい・しびれ等にお困りの方は名古屋市緑区の大清水クリニックへお気軽にご相談ください。

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