【このしびれは何かの病気?脊椎編】しびれの原因を専門医が解説します

「手足のしびれが気になるけれど、病院に行くべきかどうかわからない」「もしかして何か病気があるのでは?」と不安に感じている方はいませんか?
しびれが起こる原因はさまざまですが、継続する手足のしびれは体が発する異常サインです。
今回は、私たちの体の中でもとくに重要な役割を担う「脊椎・脊髄」が関連するしびれについてご紹介します。しびれの原因となる代表的な病気や、どのように対処すべきかを専門医が解説いたします。

脊椎・脊髄の仕組み

手足のしびれを引き起こす理由のひとつに、脊椎・脊髄の病気があります。それらの病気について解説する前に、まずは脊椎・脊髄の仕組みについて簡単に触れておきましょう。
脊椎は、一般的に「背骨」と呼ばれるものです。首から腰にかけての骨(椎骨)が、椎間板(骨と骨の間にあるクッションのようなもの)・椎間関節・靭帯などで1本の柱のように連なっています。
全身を支える大黒柱のような脊椎には親指の太さほどの空間があり、その中を通っているのが「脊髄」です。脊髄は脳につながる重要な神経であり、手足を動かす「運動神経」、末梢の感覚を脳に伝える「感覚神経」、内臓の働きをコントロールする「自律神経」に枝分かれして全身に分布し、生命維持や活動を可能にしています。
つまり、脊椎は脊髄を守る入れ物であると同時に、体幹を支え、体の動きを可能にする重要な部位です。
このように重要な役割を持つ脊椎・脊髄が何らかの理由で傷つくと、痛み・しびれなどの症状となって現れます。その中でも、首や腰は日常動作や加齢によって負担がかかりやすく、一度痛みやしびれが出始めるとなかなか改善しづらい側面があります。

しびれが起こりやすい脊椎・脊髄の病気にはどのようなものがある?

次に、しびれが起こりやすい病気にはどのようなものがあるのか見ていきましょう。

頚椎症

頚椎は7つの椎骨が連なり、頭・首を支えています。
重たい頭を支えるため他の脊椎に比べ負荷が大きく、椎骨と椎骨の間でクッションの役目を果たしている椎間板は、とくにダメージを受けやすいと言えるでしょう。
日常的なダメージに加えて加齢の影響を受けること、椎間板は劣化・変形します。さらに、椎骨そのものが傷いてトゲのようなものができると、脊椎の空間が狭くなって脊髄を圧迫し、周囲の神経も刺激を受けます。日常生活では手足のしびれや脱力を自覚し、手先の細かい作業(ボタンをかける・箸を持つ・お裁縫をするなど)がむずかしくなったり、歩行がぎこちなくなったりして異常に気付くことがあります。

脊椎椎間板ヘルニア

クッションの役目を果たす椎間板は、中心部にあるゼリー状の組織と、それを取り囲むコラーゲン線維でできています。
何らかの理由でこれらの組織が脊椎からはみ出し、周囲の神経を圧迫してしびれや痛みを引き起こすのが椎間板ヘルニアです。
椎間板が変形・損傷する理由としては、加齢による水分喪失や劣化のほか、無理な姿勢・運動・ケガなどがあり、負荷のかかりやすい腰椎・頚椎で多く発症します。
損傷を受けた部位によって症状が異なり、腰椎椎間板ヘルニアでは腰痛や足の痛み、頚椎椎間板ヘルニアでは手足のしびれが特徴的です。

腰部脊柱管狭窄症

脊柱管は、連なった脊椎で作られた空洞であり、脊髄の通り道です。脊柱管が狭くなり、慢性的に脊髄や周囲の神経が圧迫されると腰部脊柱管狭窄症を発症します。
脊柱管が狭くなる原因としては、加齢による椎体・椎間板の劣化あるいは変形、椎間板ヘルニアなどがあります。
腰部脊柱菅狭窄症では「間欠性跛行(かんけつせいはこう)」が見られ、歩き続けると足の痛みやしびれが現れ、少し休むと症状が改善する「歩いては休み、歩いては休み」といった症状が特徴的です。
脊柱管狭窄の部位によっては、お尻の痛みやしびれ、排尿・排便障害をきたすこともあります。

後縦靭帯骨化症

椎体の後ろに付着している靭帯(後縦靭帯)が何らかの理由で硬くなり(骨化)、肥大して脊髄や神経を圧迫する病気です。明らかな原因がわかっておらず、難病に指定されています。
症状として全身性の痛み・手足のしびれ・運動障害があり、頚椎では手足のしびれや手先の動きの悪さ、胸椎・腰椎では足のしびれや脱力感が現れやすく、病気が進行すると歩行障害や排泄障害をきたします。

多発性硬化症

多発性硬化症は原因が明らかになっていない中枢神経系の病気で、指定難病のひとつです。現在のところ自己免疫が関係しているのではと考えられています。
脳から神経を介して全身に情報が伝わるとき、「軸索(じくさく)」と呼ばれる電線のようなもので電気信号が伝えられますが、軸索を覆うカバーのようなものが傷つき、電気信号がうまく伝わらない病気です。
電気コードを覆っているコーティングが破損し、電線がむき出しになった状態をイメージするとわかりやすいかもしれません。
多発性硬化症では、このような病巣が脳・脊髄・視神経など多発的に見られます。病巣のある部位によって現れる症状が異なるため、手足のしびれ・ふるえ・視力障害・疲れやすさ・情緒の不安定さなど多彩です。

このようにしびれを起こす病気はさまざまで、中には難病に指定されているものや、日常生活に大きな支障をきたすものもあります。
手足のしびれは体が発する何らかのサインです。異常に気付き適切に対処するためには、ご自身で判断せず、まずは全身の診察ができる神経内科にご相談されることをおすすめします。

しびれでお悩みの方は、まず神経内科にご相談を

神経内科は、神経学的検査・診断を行った上で症状や病気に応じた治療をご提案するのはもちろん、必要があれば他の診療科をご紹介することも可能です。
「しびれがあるけれど、どの診療科に行けばいいかわからない」「何かの病気ではないか不安」という方は、ぜひ一度当院にご相談ください。
大清水クリニックでは、患者様の症状を和らげ、快適な毎日をお過ごしいただけるよう診療に努力いたします。
また大清水クリニックでは、子供の頭痛はもちろんのこと、めまい・しびれに悩む女性に寄り添った治療もご提案しています。
つらい頭痛・めまい・しびれ等にお困りの方は名古屋市緑区の大清水クリニックへお気軽にご相談ください。

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