【専門医が教える】寒い時期は寒冷刺激に要注意!冬に起こる頭痛の原因と予防

寒さが厳しくなる季節となりました。「寒くなると頭痛がひどくなる」「冬に頭痛を起こすことが多い」とお悩みの方はいらっしゃいませんか?
その頭痛は、寒冷刺激によるものかもしれません。寒さと頭痛の関係は学術的に認められており、事前に対策をとることで防げる頭痛です。
寒い季節ならではの頭痛を減らし、毎日を快適に過ごしていただくため、今回は寒冷刺激による頭痛の原因・予防法についてご紹介します。

なぜ寒さで頭痛が起こるのか?

寒い季節の頭痛には原因が大きく2つあり、

① 外部環境の変化による寒暖差
② 冷たい食べ物・冷気によるもの

があります。
それぞれの原因を具体的に解説します。

外部環境の変化による寒暖差

外部環境の変化として、暖房で暖められた室内と気温の低い屋外の寒暖差があります。また、屋内であっても暖かいリビングから廊下やトイレに移動して、急激な室温の変化にさらされることもあるでしょう。
このように、暖かい場所から寒い場所への移動で急激に体が冷やされると、それが刺激となって血管が収縮します。血管の収縮によって神経が刺激されたり、血行不良になったりすると頭痛を感じるというわけです。
さらに、寒さで収縮した血管が拡張する際も、周囲の血管や神経を刺激するため頭痛を引き起こすと考えられています。

冷たい食べ物・冷気によるもの

もうひとつは、冷たい物を口にすることが原因で、以前は「アイスクリーム頭痛」と呼ばれていました。アイスクリームやかき氷を食べて「頭がキーン」とする現象を、誰しも一度は経験したことがあるでしょう。
冷たい食べ物・飲み物を口にしたり、冷たい空気を吸い込んだりといった寒冷刺激は三叉神経に伝わります。三叉神経は顔・鼻・口の感覚を司る神経で、寒冷刺激が三叉神経を介して脳に伝わり、「痛み」として感じることで頭痛を起こすと考えられています。

冬の頭痛には「起こりやすい場所・タイミング」があります

寒い季節に起こりやすい頭痛の多くは、室内外の寒暖差・冷たい食べ物・冷気などの「寒冷刺激」が原因です。
そのため、起こりやすい場所やタイミングは限られています。代表的な場所・タイミングは次の通りで、これを知っておくと頭痛を未然に回避することにつながります。

◯ 暖かい室内(オフィス・店舗・自宅など)から屋外へ出たとき
◯ 暖かいリビングから、廊下・トイレ・脱衣所へ移動したとき
◯ 早朝、暖かい布団から出たとき
◯ 冷たい食べ物・飲み物を口にしたとき
◯ 冷えた体を急に暖めたとき(外出から戻ったとき、湯船に入るときなど)

寒冷刺激による頭痛は、「急激な温度変化」によって血管や神経が刺激されることが原因です。「冬に起こる頭痛をなんとかしたい」という方は、このポイントを押さえておくと良いでしょう。

冬は片頭痛と緊張型頭痛にも要注意!

寒暖差や冷たいものを口にすることで頭痛が起こりますが、もうひとつ気を付けたいのが「片頭痛」や「緊張型頭痛」による頭痛です。
これらの頭痛も冬は増える傾向にあります。

ここではそれぞれの頭痛の特徴と冬に増加するワケを解説します。

片頭痛とは

片頭痛は、頭の片側もしくは両側にズキズキとした痛みを伴う頭痛です。
頭痛の症状のほかに吐き気や嘔吐などが起こることもあります。
この片頭痛は、光や音に敏感になるだけでなく、冬の寒さや寒暖差がきっかけで片頭痛が起こることもあるため注意が必要です。

片頭痛の原因はまだはっきりとわかっていませんが、冬の寒さの場合には、外部からの刺激により三叉神経に伝わり、さらに連鎖反応で血管の拡張や炎症が発生していくために起こると考えられています。

片頭痛の場合は、寒さが直接的な症状の誘因にはなりませんが、女性の場合は生理前後の不調時に寒暖差が影響して起こる可能性もあります。
片頭痛の場合は、お風呂などで体を温めるとかえって頭痛を悪化させる可能性があるため注意しましょう。

片頭痛の場合は、鎮痛薬を服用すると症状が改善するため、まずは安静に過ごしながら薬に頼るものよいでしょう。
また、片頭痛は睡眠不足も症状悪化につながります。

寝不足にならないように日ごろから十分な休息をとることが大切です。

緊張型頭痛とは

原因とする病気がない頭痛のうち最も多くみられるのが緊張型頭痛です。
緊張型頭痛は、後頭部や側頭部などを中心にギューッと締め付けられるような痛みが特徴で、身体的・精神的ストレスが原因で起こると考えられています。

寒い時期は、体を冷やさないように筋肉が収縮して血流が悪くなるため緊張型頭痛が起こりやすいと言われています。
また、長時間同じ姿勢で作業することで肩や首が凝りやすく、周辺の筋肉が緊張して血流不足になることも緊張型頭痛による頭痛を感じやすくなるため注意しましょう。

肩こりなどが原因で緊張型頭痛が起きている場合には、マッサージや軽めの運動で血流不足を改善してリラックスするとよいでしょう。
特に冬は寒さで体を動かす機会も減りがちです。

ジョギングなどの激しい運動でなくとも、肩回しや首を上下するなどすぐにできる運動を取り入れ、定期的に凝りをほぐすようにしましょう。

また、冷え性の人は体の血液を全身に送り出す働きが低下しており、筋肉量が少なくなっています。
特にふくらはぎなどの足の筋肉は、収縮しながら全身に血液を送り出す働きをしています。

寒い冬は特に動きが鈍くなるため、スクワットなどの足を中心に動かす運動がおすすめです。

冬の寒さで起こる頭痛を予防するために注意してほしいこと

寒さで引き起こされる頭痛を予防するには、可能な限り寒冷刺激や寒暖差を避けることです。
寒いからといって室内を暖めすぎると、廊下や屋外に出たときの寒暖差が刺激となり、頭痛を引き起こすことがあります。冬場の室温は20℃が適正とされているため、暖房の設定温度を上げすぎることのないよう、衣類を調整して寒さを防ぎましょう。
また、トイレや浴室に小型暖房器具を設置するなどしてリビングとの温度差が3~5℃以内になるように工夫すると、急激な温度変化による頭痛・体調不良を防ぐことができます。
さらに体の外からだけでなく、食べ物や飲み物で体の中から温めることも大切です。寒い季節であれば、生姜・大根・人参などの根菜類を積極的に摂るようにしましょう。
すっかり日常となったマスクの装着も、冷気吸息による頭痛予防に役立ちます。昔から「三首冷やすな」と言われるように、外出の際はマフラー・手袋・厚手の靴下などを着用し、三首(首・手首・足首)を冷気から守りましょう。

 

冬の脳卒中にも要注意!気になる頭痛は専門医にご相談を

もうひとつ、冬に注意したい頭痛として「脳卒中のサイン」としての頭痛があります。
脳卒中の場合、急激な温度変化によって血管の収縮・血圧上昇が起こり、それが原因で脳出血や脳梗塞を引き起こします。冷えた体を温めるため急いで湯船に浸かる・早朝に薄着のまま新聞を取りに行くなど、寒い場所から暖かい場所へ、あるいは暖かい場所から寒い場所へと移動する際の急激な寒暖差は、体にとって大きな負担となるのです。

頭痛だけでなく、

・顔の半分が麻痺する(下垂する)
・上手に会話ができない(ろれつが回らない)
・手足がしびれる
・吐き気や嘔吐がある

といった症状が見られる場合、脳卒中の可能性が高いためすぐに医療機関を受診してください。
また、上記の症状以外にも「いつもの頭痛と違う」「頭痛が長引いてつらい」などの症状でお困りの際は、ぜひ一度頭痛専門医に相談されることをおすすめします。

まとめ

寒い時期は頭痛の症状で悩む人が増える傾向にあります。
その原因は寒暖差などの寒冷刺激や片頭痛や緊張型頭痛です。

冬場に頭痛が起こりやすい人は、まずはしっかりと寒さ対策をしましょう。

ただし、冬はインフルエンザやコロナウイルスなどの感染症も流行する時期です。
頭痛以外にも発熱や咳、鼻水などの症状があれば内科を受診しましょう。
また、激しい頭痛は脳卒中のサインかもしれません。

ろれつが回らない、しびれがあるなどの症状があるときは、すぐに救急車を呼びましょう。

大清水クリニックでは、患者様の症状を和らげ、快適な毎日をお過ごしいただけるよう診療に努力いたします。
また大清水クリニックでは、子供の頭痛はもちろんのこと、めまい・しびれに悩む女性に寄り添った治療もご提案しています。
つらい頭痛・めまい・しびれ等にお困りの方は名古屋市緑区の大清水クリニックへお気軽にご相談ください。

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