家事や仕事で頑張りたいときに頼ってしまうのがエナジードリンク。エナジードリンクにはカフェインが含まれており、適度な摂取は元気を後押ししてくれますが、過度の摂取は頭痛を引き起こす可能性があるため注意が必要です。今回は、頭痛とカフェインの関係性と併せて、頭痛が起きたときの対処法を解説します。
目次
カフェインにはどのような作用があるの?
カフェインは、100種類以上ある植物の葉や幹、種などに含まれる「苦み」が特徴の天然成分です。
眠気覚ましなどの覚醒作用や、尿の排出を促す利尿作用がある成分として知られています。このほかにも、筋肉疲労に効果がある筋肉収縮効果や、基礎代謝を高める働き、胃液の分泌を活発にする効果、血圧上昇効果、鎮痛補助効果などが特徴です。
正しくカフェインを摂取すれば、体にとってうれしい働きをしてくれます。
カフェインと聞くと、コーヒーを連想しますが、紅茶や緑茶、ウーロン茶、コーラ、エナジードリンク・栄養ドリンクなどにも含まれています。特にエナジードリンクや栄養ドリンクには多くのカフェインが含まれているため、摂り過ぎは禁物です。
また、カフェインは頭痛を鎮める作用もあります。摂りすぎは良くありませんが、適度に飲むと頭痛を和らげる効果が期待できるでしょう。
カフェインは頭痛を和らげる作用がある
カフェインには血管を収縮させる働きがあるため、片頭痛などのように血管が拡張したことで痛みを伴っている症状を緩和させる効果が期待できます。またカフェインは、痛みを抑える効果を助ける鎮痛補助効果があるため、市販の鎮痛剤にも含まれていることがあります。
症状がではじめたら、コーヒーや緑茶などのカフェインを含む飲み物を飲んでみるのも対処法の1つです。
カフェインの過度な摂取は離脱時に頭痛を引き起こす
カフェインは適量であればがんを抑えたり、死亡リスクが減少したりするなどの効果があることが分かっています。
しかし過剰に摂取すると、めまいや心拍数の増加、興奮、不安、震え、不眠、下痢、吐き気などの中毒症状が現れることがあります。また場合によっては意識を失ったり、心肺停止に陥ったりすることもあります。(これについては後程詳しく説明します。)
このような中毒症状が現れると、場合によっては入院して治療が必要な場合もあります。
また長期的毎日カフェインを摂取すると、カフェインの作用が切れた後に頭痛を引き起こすことがあります。慢性的にカフェインを飲んでいると、血管が収縮している状態となるため、収縮した血管が拡張して血流が増加するためです。
カフェイン中毒は、ある種の依存症の状態であるため、瞬間的にカフェインの摂取を辞められても、またカフェインを常用するようになってしまうこともあるでしょう。そのため、カフェインは適量を守って楽しむことが大切です。
エナジードリンクやカフェインとの上手な付き合い方は?
手軽で飲みやすいエナジードリンクの中には、1本当たりのカフェイン濃度が100mlあたり300mgを含むものもあります。欧州食品安全機関では、健康な成人の場合1日に400mgと定めており、コーヒーの場合、マグカップ3杯分です。
エナジードリンクの中には、缶や瓶1本当たりにするとコーヒー約2杯分に相当するカフェインを含むものもあります。元気の前借りとして、若い方を中心に人気のあるエナジードリンクですが、過剰摂取による死亡例も報告されていることから、1日に何本も飲まないように注意しましょう。
カフェイン中毒とは?
カフェインを過剰に摂取すると、体がカフェインに反応して中毒症状を起こして、体がカフェインを不足していると感じると刺激を求めて摂取するのをやめられなくなってしまう状態です。
カフェインは正しく使えば、神経を覚醒させて集中力を高めたり、眠気や倦怠感を抑制したりすることができます。しかし、これらは体の機能が回復したから起こっているわけではなく、一時的にパフォーマンスを底上げしているに過ぎません。いわば、無理をしている状態(体に負担をかけている)なのです。
カフェイン中毒の症状
カフェインを大量に摂取すると、自律神経が乱れやすくなり体と心の両方に症状が現れます。カフェイン中毒になると以下のような症状がみられます。
精神的な症状
・不安感、焦燥感
・緊張
・不眠
・知覚過敏
・多弁
・妄想、幻覚
・パニック発作
など
身体的な症状
・胃痛、胸痛
・吐き気
・心拍数の増加、呼吸数増加
・痙攣
・頭痛
・過呼吸
など
日常的にカフェインを飲む人で、カフェイン摂取からしばらくしてソワソワしたり頭痛がしたり、呼吸数が増えていたりすると感じるときは、カフェインを摂りすぎている可能性があります。
カフェインを常用していると、カフェイン摂取をやめにくくなってしまったり、カフェインを摂るのを辞めたりしたあとに離脱症状が出るなど、日常生活に支障をきたすこともります。
気になる症状があれば、医療機関を受診して検査を受けましょう。
カフェインはどのタイプの頭痛に効くの?
頭痛にもさまざまなタイプがありますが、カフェインによる頭痛緩和の効果が期待できるのは「片頭痛」です。
片頭痛とは、何らかの原因で血管が拡張することで頭の片側・両側に脈を打つような拍動性の痛みを伴う頭痛を言います。
この片頭痛はこめかみから目、ときには後頭部にかけて数時間~数日間ズキズキと痛むのが特徴です。また、症状がひどくなると、吐き気や頭痛を伴うことがあり、光や音に過敏になる傾向があります。
片頭痛は特に女性に起こりやすく、それには女性ホルモンが関係していると考えられています。
片頭痛は血管が拡張することで起こるため、カフェインの血管収縮の作用を利用すれば、頭痛が緩和する可能性があります。
ただし、カフェインの摂取はあくまでその場しのぎの対処法であるため、片頭痛を根本的に解決できるわけではありません。
またカフェインを摂取したからと言って、片頭痛の症状が緩和するとは限りません。適量のカフェインを摂取しても改善しない場合は、頭痛薬を飲んだり、医療機関に相談したりすることが大切です。
緊張型頭痛にカフェインはNG?
緊張型頭痛は、後頭部から首筋にかけての筋肉が血行不良を理由に緊張することで起こる頭痛です。
頭を締め付けられているかのようなずっしりとした痛みがあり、精神的なストレスや長時間同じ姿勢で過ごすなどの身体的なストレスが原因で起こります。
片頭痛がカフェインにより症状が緩和する可能性がある一方で、緊張型頭痛のある人が症状緩和のために飲むカフェインはおすすめできません。
それは、カフェインを飲むことでさらに血管を収縮させてしまう恐れがあるためです。緊張型頭痛は肩や首周辺の筋肉が緊張することで、血行不足になり頭痛が起こります。そのため、その状態にあるときにカフェインを摂取すると頭痛が改善するどころか、症状が悪化する可能性があります。
そのため、緊張型頭痛がある人は頭痛の症状を緩和させるためにカフェインを摂るのは控えましょう。
片頭痛と緊張型頭痛の混合型の人も摂取は控えて
頭痛を持つ人のなかには、片頭痛と緊張型頭痛の混合型という人もいるでしょう。この場合も、症状緩和のためにカフェインを摂るのは控えましょう。これは、どちらの頭痛によって痛みが起きているか判断できないためです。
症状がつらい場合には、市販の頭痛薬を飲んだり、専門医のいる医療機関を受診しましょう。
頭痛が起きたときの対処法
気圧の変化や疲労などで片頭痛が起きている場合は、カフェインを含む飲み物を飲むと痛みが和らぐことがあります。ただし、症状緩和のために飲み過ぎると悪化させてしまうこともあるため注意が必要です。
カフェインを摂取して頭痛の緩和を図るときは、コーヒーなら一度にコップ1杯のように、適量を飲むようにしましょう。頭痛があるときに、カフェイン量の多い、エナジードリンクを1缶飲み干すのはおすすめできません。
また妊娠中の女性のカフェイン摂取は胎児に影響を与えることがあります。そのため、妊娠中の頭痛のときにカフェインで改善を図るのはNGです。妊娠中は使用できる薬にも制限があるため、医師に相談の上、処方された薬を使用しましょう。
カフェインを含む飲み物を飲んだ後に頭痛の症状がみられる場合には、カフェインを含まないお水などをのみ、カフェインの成分を早く代謝させるようにします。
また血管を冷やすのも有効です。特にカフェイン摂取後の離脱で頭痛が起きている場合は、急に脳の血管が拡張して血流が良くなることが原因で起こります。そのため、頭を冷やして元の状態に戻すことで改善する場合があるでしょう。
額や首に冷却ジェルシートを貼ったり、タオルを巻いた保冷剤を当てたりして頭を冷やしてみましょう。
また、片頭痛そのものの対策を日ごろから講じることも大切です。睡眠不足やストレス、不規則な生活などは片頭痛を引き起こしやすいことが分かっています。片頭痛が起きる原因が分かっている場合は、その要因を避けるようにして、片頭痛を起こさないように対策をしておきましょう。
いずれの場合も、頭痛の症状が辛い場合には早めに医療機関を受診しましょう。
まとめ
エナジードリンクやコーヒーなどに含まれるカフェインは、適量であれば体に良い効果をもたらしますが、過剰摂取は中毒症状や頭痛を招くことがあります。エナジードリンクは飲みやすさからつい手にしがちですが、1日1本に留め、常用しないようにしましょう。
何か気になる症状があれば頭痛専門医の院長がいる、当院の受診をご検討ください。
大清水クリニックでは、患者様の症状を和らげ、快適な毎日をお過ごしいただけるよう診療に努力いたします。
また大清水クリニックでは、子供の頭痛はもちろんのこと、めまい・しびれに悩む女性に寄り添った治療もご提案しています。
つらい頭痛・めまい・しびれ等にお困りの方は名古屋市緑区の大清水クリニックへお気軽にご相談ください。