【頭痛専門医監修】スマホやパソコンの見過ぎと頭痛の関係性について

スマホやパソコンの急速な普及は、日常生活を便利にするとともに、ときに私たちの時間と健康を奪っているようにも感じられます。
とくに近年は、「スマホ依存症」「スマホ症候群」といった言葉が一般的になるほど、長時間使用による弊害に悩む方が多い印象です。
今回は、スマホの使用に伴う健康問題のひとつ「スマホ頭痛」をテーマに、その原因と対処法について解説します。

「スマホ頭痛」はなぜ起こる?

近年、老若男女を問わずスマホやパソコンを使いこなす方が増えました。情報検索やネットショッピングが一般的になったことで、「スマホがなければ生活できない」という方も多いことでしょう。
一方で、スマホ・パソコンの長時間使用による弊害も出ています。そのひとつが、「スマホ頭痛」です。

スマホの急速な普及で「スマホ頭痛」に悩む人が増えている

総務省の統計によると、スマホの個人保有率は2011年から2016年の5年間で4倍に増え、今や「2人に1人がスマホを持つ時代」だと言われています。

*1:平成29年版 情報通信白書(総務省)より引用
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h29/html/nc111110.html

 

この図では、20代・30代の若い世代だけでなく、50代の6割以上、60代でも3割以上がスマホを所有しており、若者や現役世代を中心としたスマホの普及は一目瞭然です。
また、同調査では一日あたりのスマホの平均使用時間は全体で82分、10代・20代ではじつに2時間以上という結果が報告されています。*1
しかし、データはあくまでも「平均」なので、人によってはかなり多くの時間をスマホに費やしていると考えられます。

このように、生活にスマホが浸透することで増えているのが、長時間使用による「スマホ頭痛」と呼ばれる健康問題です。
「ちょとだけ」のつもりでスマホを手にとったが最後、SNSやゲームが止められず、気がつくと長時間スマホを見ていた・・・という方は意外と多いのではないでしょうか。
目の疲れや頭痛を感じ、ようやくスマホを見るのを止めるという方は要注意です。スマホ頭痛は、ときに自律神経失調やうつ症状を招くこともあり、決して軽く見ることのできない問題なのです。

スマホ・パソコン使用に伴う「緊張型頭痛」

スマホ頭痛の主な原因は「首・肩への過剰な負担」と、それによる「筋肉の緊張」「血行不良」であり、スマホやパソコンを見るときの姿勢・環境が大きく関係しています。
例えば、普段このようなことはないでしょうか?

・SNSやゲームに熱中し、気づくと1時間以上同じ姿勢でスマホを見ている
・日中はパソコンを使うデスクワークが中心
・寝る直前までスマホを見ている
・最近、目の疲れ・首の痛み・肩こりを感じる

以上の項目に心当たりのある方は、頭痛のタイプでいうと「緊張型頭痛」に当てはまります。
緊張型頭痛は「頭全体の締め付けられるような痛み」が特徴で、筋肉の緊張とそれによる血行不良が原因です。スマホ画面を見るときのうつむき姿勢や、前かがみでのパソコン作業は首や肩に大きな負担がかかり、筋肉の緊張による血行不良を招きます。
ほかにも、ブルーライトによる体内リズムの乱れ、画面の見過ぎによる眼精疲労なども頭痛の原因となります。

 

「スマホ頭痛」はなぜ起こる?

スマホ頭痛を防ぐには、頭痛の原因をなるべく取り除くことが大切です。しかし、スマホを手放すのはあまり現実的な方法ではありません。
そこで、スマホやパソコンと上手に付き合いながら頭痛を予防する方法をいくつかご紹介します。

スマホ・パソコンの使用時間を決める

「プライベートでの使用は一日1時間まで」「長時間の連続使用はしない」など、普段からスマホの使用時間を決めておくと良いでしょう。仕事で長時間のパソコン使用が避けられない場合は、途中で休憩を挟む・ストレッチをするなどの心がけが必要です。

姿勢を意識する

スマホやパソコンの使用中は、つい前かがみやうつむき姿勢になりがちです。先述したように、これらの姿勢を長時間続けると首・肩のこりを招き、頭痛を引き起こす恐れがあります。
なるべく視線が下に向かないようにスマホやパソコン画面の位置を調整し、首・肩に負担がかからない姿勢を意識しましょう。

ストレッチで血行を改善

スマホ頭痛を予防するためには、筋肉の緊張を和らげ、血行を改善することが大切です。
座ったままできるストレッチとして、首を左右に動かす・回転させる、大きく伸びをするなどがありますが、おすすめはラジオ体操やテレビ体操のように全身を動かす運動です。
スマホ・パソコン使用中は、こまめに休憩を挟んで体を動かすようにしましょう。

ブルーライトの浴びすぎを防ぐ

スマホやパソコンの画面から発せられるブルーライトは、夜に浴びることで体内リズムを乱し、不眠や頭痛の原因となります。寝る直前までブルーライトを浴びて脳が覚醒しないよう、夜21時以降・就寝の1~2時間前はスマホやパソコンの使用を控えるようにしましょう。
また、明るすぎる画面や薄暗い場所でのスマホ使用は、ブルーライトの影響を強く受けることになります。
画面や部屋を適度な明るさに調整し、ブルーライトカットの眼鏡を使用する・液晶画面にフィルムを貼るなどの工夫をすると良いでしょう。

 

頭痛がひどくなったときの対処法

予防策を講じても頭痛が現れた場合は、「緊張型頭痛」の対処を基本としたセルフケアを行ってください。
ポイントは、「筋肉の緊張を和らげること」「血行を改善すること」です。

首・肩を温める

入浴やホットタオルで首・肩を温めると、筋肉の緊張がほぐれて血行改善し、緊張型頭痛の緩和が期待できます。また、温熱刺激によるリラックス効果もあるため、不眠対策としてもおすすめです。

スマホ・パソコンから離れて体を動かす

スマホ頭痛の原因の多くは、不自然な姿勢が長時間続くことによる筋肉の緊張と血行不良です。
一旦スマホやパソコンから離れ、ストレッチやウオーキング・ジョギングなどの軽い運動を行いましょう。体を動かすことで気分転換やストレス解消にもつながります。

頭痛が治らない・長引くときは医師に相談を

セルフケアで対処できない頭痛は、早めに専門医に相談しましょう。
鎮痛剤を常用すると「薬物乱用頭痛」という新たな問題が生じることもありますので、頭痛のタイプや症状に応じた適切な治療を受けることが大切です。

 

スマホ・パソコンと上手に付き合って健やかな毎日を

今後、さらにIT化が進むことは間違いありません。生活を便利で豊かなものにするためにも、私たちはスマホやパソコンと上手に付き合っていく必要があるでしょう。
そのためにも、今回お伝えしたことを参考にスマホ頭痛の予防・セルフケアに努めていただきたいと思います。
大清水クリニックでは、患者様の症状を和らげ、快適な毎日をお過ごしいただけるよう診療に努力いたします。
また大清水クリニックでは、子供の頭痛はもちろんのこと、めまい・しびれに悩む女性に寄り添った治療もご提案しています。
つらい頭痛・めまい・しびれ等にお困りの方は名古屋市緑区の大清水クリニックへお気軽にご相談ください。

 

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