週末片頭痛 専門医が休日に起こる症状を解説

せっかくの休日に頭痛がする、土曜日になると決まって頭が痛くなる・・・という方は、『週末頭痛』かもしれません。

休みの日に限って現れる週末頭痛は、予定のキャンセルで人間関係に支障が出たり、趣味の時間を楽しめなかったりと、生活の質に大きく影響します。私生活を充実させるためにも、「単なる頭痛だし・・・」「平日に会社を休むよりはいい」と諦めず、自分自身でも適切に対処することが大切です。

今回は、休日になると現れる「週末頭痛」について、その原因と対策を紹介します。

 

休みになると現れる『週末頭痛』とは?

休日や週末になると現れる『週末頭痛』。

休みのたびに頭痛に悩まされる患者様は、頭痛によるつらい症状はもちろん、せっかくの休日が頭痛で台無しになるという心理的負担も抱えています。リラックスするために休みたいものの、週末になるたびに頭痛が起きていては、かえって週末が億劫になってしまいます。

このような週末頭痛が起きる原因には、休日ならではの「生活リズム」や「心の変化」が関係しており、適切に対処すれば頭痛を予防することが可能です。「体質だから仕方ない」といった悩みはあきらめず、まずは週末頭痛について情報収集をして正しく理解することから始めましょう。

原因その① ストレスからの解放

平日は、仕事の忙しさや人間関係のストレスで心身ともに緊張状態です。ようやく週末を迎え、「やっと休める」とホッとする方が多いでしょうが、実はこの「ストレスからの解放」が週末頭痛の原因のひとつです。

「リラックスして、なぜ頭痛が起こるの?」と不思議に感じるかもしれませんね。
これには「セロトニン」と呼ばれる脳内物質が関係しており、強いストレス状態を感じているときにセロトニンの分泌が増加し、血管は収縮します。
逆に、リラックス状態になるとセロトニンが減少し、血管は弛緩するようになっています。
セロトニンはドーパミンやノルアドレナリンを制御して精神を安定させる働きをしています。そのため、平日に仕事や家事などで緊張状態にあった体を意識的に休めようとしているのです。

つまり、平日のストレス状態から週末のリラックスモードへ変換すると、多量に分泌されていたセロトニンが急激に減少し、それに伴って血管が拡張します。
急激な血管拡張は脳血管の周りにある三叉神経を刺激しているため、その結果、頭痛が生じるというわけです。

特にストレスの多い仕事をしている人や長時間の仕事、体を酷使する仕事をしている人は体を休めようとして、頭痛の症状が起こりやすくなることがあります。

原因その② 休日の寝溜め・睡眠時間の乱れ

「週末はつい夜ふかしをしてしまう」「日頃の疲れを取るため昼過ぎまで寝ている」など、休日の寝溜めや睡眠リズムの乱れも頭痛の原因のひとつです。

寝ている間はリラックスモードになり、副交感神経が活発になります。副交感神経は、血管を拡張させて体の臓器を休めたりする働きがありますが、長時間寝続けることで副交感神経が優位な状態が続き、血流量が増加してしまうのです。

当然、睡眠時間が長くなるほど血管の弛緩状態も長く続きます。長時間寝続けることで、その分目覚めたときの反動は大きく、目が覚めると交感神経が優位な状態に切り替わるため、急激な血流の変化で三叉神経が刺激され、頭痛を引き起こしてしまうのです。

また睡眠時間が極端に短いことも頭痛の原因です。睡眠不足は交感神経が優位な状態にあるため、血管が収縮し脳に届く血流量が少なくなります。
すると、頭が締め付けられるように感じたり、頭が重く感じたりすることもあります。睡眠時間が短いと疲労感が抜けないばかりか、頭痛やだるさなどの症状も現れるため注意が必要です。

このように、睡眠時間の乱れが頭痛を引き起こすこともあるのです。

原因その③ 頭痛の原因となる飲み物・食べ物

「週末は気のおける仲間とお酒を楽しむ」という方もいるでしょう。適量であれば問題ありませんが、翌日が休みだと思えばいつもより飲み過ぎてしまうこともめずらしくありません。しかし、過剰なアルコール摂取は頭痛の原因となります。

お酒を飲むと、アルコールは肝臓で分解されます。このとき、アルコールを分解する過程で「アセトアルデヒド」と呼ばれる毒性物質を作り出します。

通常は、酢酸と飛ばれる無害な物質に分解されて、汗や尿として排出されますが、一度に過剰のアルコールを摂取すると、多量のアセトアルデヒドが作られるため上手に処理することができません。すると、処理しきれなかった分が頭痛や吐き気などの体調不良を引き起こしてしまうのです。

またアルコールを飲みすぎなくても特定の食べ物や飲み物が頭痛を引き起こすこともあります。
とくに、片頭痛の方は特定の食べ物や飲み物が頭痛を誘因することもあります。例えば、赤ワインに含まれる「チラミン」という物質が血管に作用し、それが原因で片頭痛を引き起こすことがわかっています。また、チョコレートやチーズも頭痛を起こしやすく、お酒と一緒に口にする方は注意が必要です。

また、カフェインの離脱症状としても頭痛が起こることもあります。平日仕事中に、コーヒーやエナジードリンクをよく飲む人は、カフェインが体の中にある状態が当たり前になっています。休日になり、カフェインを飲まなくなるとカフェインが切れて、脳の血管が拡張して頭痛が起こることもあります。
仕事中は頭痛の症状はないのに、帰宅したときや休日に頭痛が起こるようであれば、カフェインの離脱症状かもしれません。

原因その④ 空腹による低血糖

週末になるといつもの生活リズムが崩れ、食事の時間が遅れたり欠食したりすることもあると思います。空腹で低血糖状態になると、体は元の状態を維持しようとして血管を拡張させるため、その結果頭痛を生じることがあります。

低血糖とは血糖値が正常範囲以下に下がった状態を指します。
症状には個人差があり重症度によっても症状が異なりますが、初期の場合には、異常な空腹感や冷や汗、動悸、吐き気などの体調不良などの症状を自覚する場合があります。

空腹が原因で低血糖が起こっている場合は、空腹を満たし安静にすることで改善します。

 

週末頭痛の原因に先回りして、痛みの発生を予防しましょう

週末頭痛は、主に脳血管の弛緩(拡張)によって三叉神経が刺激されて起こります。きっかけとして「ストレスからの解放」「寝溜め」「アルコール」「低血糖」などがあり、これらを避けることが週末頭痛の予防につながります。

予防策その① リフレッシュ習慣を持つ

休日になるとのんびり・だらだらと過ごしがちですが、休日になるたびに寝溜めをしたり夕方までベッドの上で過ごしたりするようなリラックしすぎた状態はセロトニンの分泌を減らし、それが頭痛の原因となります。

心身を休めることはもちろん大切ですが、週末頭痛の予防という点で「過剰なリラックス」は逆効果です。

週末頭痛を予防するには、休日でも寝溜めを避けて、前日はいつもより早めに就寝することを心がけましょう。そうすることでいつもと同じ時間に起きても、体はしっかり休息を取れています。
特に休日は何も予定を作らず、ソファーやベッドで一日過ごしがちです。しかし、それでは昼寝やうたた寝をして、生活リズムを崩してしまうでしょう。

休日はついゆっくり過ごしがちですが、趣味の時間を設けたり、適度に体を動かしたりして普段はできないような体験をすることで、リフレッシュして心身の疲れを回復させましょう。

予防策その② 休日前に深酒をしない

翌日が休みだと思うとついついお酒が進んでしまいますが、お酒の飲み過ぎは頭痛だけでなく健康のためにも控えましょう。
前述したように過度の飲酒はアセトアルデヒドの分解が追い付かないために、翌日の頭痛や吐き気を招きます。体調が悪くなるためにせっかくの休日を無駄にしかねません。
節酒を心がけ、付き合いなどで飲む場合も少量に留めるようにしましょう。
お酒を飲み過ぎてしまい、すでに頭痛や吐き気が起こっているときは、しっかりと水分を補給しましょう。二日酔いに良いとされる食べ物や飲み物を摂るのも大切です。また、症状に応じて胃薬や頭痛薬を服用しましょう。

またお酒を飲む際に、お酒と同量の水を飲むことも二日酔い対策には有効です。最近では二日酔い対策になるドリンクが販売されているため、お酒を飲む前後に摂取してみましょう。

予防策その③ 普段の生活リズムを崩さない

生活リズムの乱れは、寝過ぎや空腹で頭痛を引き起こすだけでなく、自律神経やホルモンバランスにも影響します。週末になると頭痛が起こりやすい人は、なるべく普段を同じように過ごすことを心がけてみましょう。

特に、「休日は昼過ぎまで寝ている」「朝食を抜くことがある」など、普段と違う生活リズムで過ごしている方は要注意。休日もできるかぎり「平日と同じ生活リズムで過ごす」ことを心がけてください。

 

週末頭痛が起こったときの対処法

予防策を行っても片頭痛が生じた場合は、片頭痛や緊張型頭痛により頭痛が起こっているのかもしれません。

片頭痛とは、何らかの原因で血管が拡張することで頭の片側・両側に脈を打つような痛みを伴う頭痛を言います。

この片頭痛はこめかみから目、ときには後頭部にかけて数時間~数日間ズキズキと痛むのが特徴です。また、症状がひどくなると、吐き気を伴うことがあり、光や音に過敏になる傾向があります。また前兆症状や特定の物や環境で頭痛を誘発するのも片頭痛の特徴です。

女性ホルモンとの関連があり、生理がある20~40代の女性に起こりやすいことが分かっています。

緊張型頭痛とは何らかの原因で、後頭部から首筋にかけて圧迫感を伴う頭痛を言います。精神的・肉体的な疲労が原因で、長時間同じ姿勢で作業をしたり、精神的な疲労から起こることがあります。

片頭痛のように、ズキズキと脈を打つような痛みや寝込むほど痛みではありませんが、頭を締め付けられているかのようなずっしりとした痛みが頭の両側に起こるのが特徴です。

まずは部屋を薄暗くし、痛みが落ち着くまでゆっくり横になって休みましょう。片頭痛は光や音、動くことで症状が悪化するため、これらの刺激を避けることが大切です。

片頭痛特有の、ズキズキとした拍動性の痛みを感じる場合は、患部を冷やすのも効果的です。鎮痛剤を服用する際は、指示された用法・用量を守るようにしましょう。

それでも症状が改善しない場合は、無理をせず医療機関を受診しましょう。

 

つらい週末頭痛にお困りの方は、専門医に気軽にご相談ください

「週末頭痛」は、せっかくの休日が台無しになるだけでなく、人間関係や生活の質にまで影響する問題です。我慢したり市販薬でごまかしたりせず、ぜひ一度専門医などの医師に相談されることをおすすめします。

適切な診断・治療を受け、日頃から頭痛の予防を心がけることで症状の改善が期待できます。「たかが頭痛」と軽く見たり諦めたりせず、頭痛と向き合って対処することが大切です。本記事を参考に素敵なウィークエンドを過ごしてくださいね。

大清水クリニックでは、患者様の症状を和らげ、快適な毎日をお過ごしいただけるよう診療に努力いたします。
また大清水クリニックでは、子供の頭痛はもちろんのこと、めまい・しびれに悩む女性に寄り添った治療もご提案しています。
つらい頭痛・めまい・しびれ等にお困りの方は名古屋市緑区の大清水クリニックへお気軽にご相談ください。

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