【頭痛】ロキソニンやバファリンなどの市販薬が効かない原因や対処法

頭痛に悩まされている多くの方が、今ある痛みを取り除くために、市販されている鎮痛剤をお使いなのではないでしょうか。

「単なる頭痛」「病気ではないし、治療するほどでもない」と考えて市販薬で痛みをしのぐ、あるいは夜間や仕事中の急な発熱や頭痛に備えて、比較的入手しやすい市販薬を常備されているご家庭も多いのではと思います。

当院でも、初めて頭痛外来に相談に来られる患者様は、普段痛みが起こった際に市販薬を服用される方が多いようです。

もし、市販薬の効きが悪くなったように感じることがあり、効かないからといって用法用量を守らず、頻繁もしくは長期的に鎮痛剤を服用されている方がいらっしゃるのなら、注意が必要です。

薬を飲み過ぎて起こる頭痛があることをご存知ですか?

頭痛専門医として、ロキソニンやバファリンなどの市販の鎮痛剤は、あくまでも対症療法であることをまず理解していただきたいと思います。今ある痛みを取り除くことはできても、痛みの原因まで取り除くことはできません。つまり、「頭痛の根本原因に対する治療にはならない」ということです。

さらに、薬を飲むことで一時的に痛みが治まるからといって、用法用量を守らず服用を繰り返していると、『薬物乱用頭痛』という新たな頭痛になってしまうこともあります。

慢性的な頭痛に悩まされている方は、今一度市販薬の使用方法を見直してみてはいかがでしょうか?

薬物乱用頭痛とは

薬物乱用頭痛とは、頭痛発作がおこったときに、なるべく早く頭痛を治めるための薬(急性期治療薬)を頻回服用することにより起こります。

「薬物乱用」という名称が犯罪を連想させ、悪い印象を与えやすいこともあり、最近では「薬剤の使用過多による頭痛」と呼ぶこともあります。本来であれば痛みを和らげてくれるはずの鎮痛剤が、なぜ頭痛を引き起こすのか?そのメカニズムは十分に解明されていません。しかし、鎮痛剤を必要以上に使用することで、

●痛みに対する神経の感度が変化し、弱い痛みでも強い痛みとして感じてしまう
●片頭痛を抑える働きのあるセロトニンが枯渇し、それによって痛みが誘発される

このようなメカニズムで、薬物乱用頭痛が起こるのではないかと考えられています。

ちなみに、頭痛には一次性頭痛と二次性頭痛があり、病気などのはっきりした原因が見当たらない頭痛(いわゆる、頭痛持ちの頭痛)を一次性頭痛、頭部外傷・障害・感染症など、何らかの病気や異常が原因となるものを二次性頭痛として区別します。

薬物乱用頭痛は二次性頭痛に分類され、その診断基準は以下の2つです。

A.以前から頭痛疾患を持つ患者において、頭痛が1ヵ月に15日以上存在する
B.1種類以上の急性期または対照的頭痛治療薬を3ヵ月を超えて定期的に乱用している

薬物乱用頭痛の症状としては、ひと月の半分以上もの間を「締めつけられるような持続的な頭痛」で苦しみ、加えて「片頭痛のような発作性の激しい頭痛」が起こることもあります。市販の鎮痛剤や急性治療薬の使用を繰り返すうち、徐々に薬が効かなくなり、薬の種類を変える・量を増やすなどしても効果が乏しく、ほぼ毎日のように薬を服用する患者様も珍しくありません。薬物乱用頭痛に苦しむ方は、そうでもしなければ痛みに耐えることができず、生活もままならない状態だからこそ鎮痛剤を乱用するのですが、そのうちほとんどすべての市販薬が効かなくなるか、効いたとしてもほんのわずかな時間だけ…という状態になります。

市販薬を服用し過ぎる方の特徴としては、中度~重度の片頭痛に悩まされた結果、仕事や学校、家事等の社会生活を行うため、早めに鎮痛剤を使用する癖がついたり、服用量が増えてしまったりという傾向があります。中度~重度の片頭痛は、寝込むほどの痛みを感じる方がいらっしゃるため、鎮痛剤に頼り切ってしまう方も多いようです。

当院の頭痛外来では、生活習慣を整え、頭痛発作が起こっても軽く住むようにするための予防療法として「塩酸ロメリジン」や「バルプロ酸」などのお薬を使用し、急性治療薬の服用回数が月10回以上にならないよう服薬コントロールをします。「塩酸ロメリジン」は、頭痛発作初期の脳血管の収縮を抑えて片頭痛を予防し、「バルプロ酸」は脳内における神経の興奮を鎮めることで、片頭痛の予防・改善が期待できます。いずれも頭痛の予防療法として一般的に使用される治療薬です。

頭痛と向き合い、しっかりと治療するためには、頭痛専門医による症状・原因の鑑別と治療方針の確立、十分な服薬管理が重要です。「治療するほどではない」と考えて市販薬を使いすぎると、薬物乱用頭痛となってさらに薬に頼らざるを得ない状況となり悪循環です。

これまで市販薬でやり過ごしてきたような方は、まずは頭痛ダイアリーをつけてみましょう。頭痛ダイアリーは、頭痛発作が起こる時間帯、頭痛の程度、頭痛に伴う症状、鎮痛剤の服用状況や効果などを記録するものです。頭痛ダイアリーをつけることで、どのような状況で頭痛が起こりやすいかを知ることができ、医師にご自身の症状を的確に伝えるのにも役立つため、頭痛の患者様には可能な限りつけていただくようにしています。

頭痛の治療においては、頭痛ダイアリーでご自身の頭痛の特徴を知るとともに、神経内科や頭痛外来などの「頭痛治療に長けている専門医」に相談することが大切です。

その他の薬の効かない頭痛

「市販薬を乱用しているわけでもないのに薬が効かない」という場合は、片頭痛や緊張性頭痛以外に原因がある可能性もあります。
例を挙げると以下のとおりで、頭痛を引き起こす明らかな原因(ケガ・障害・病気)がある場合、二次性頭痛として区別します。

 

●頭部外傷・障害による頭痛(例:外傷後頭蓋内血腫による頭痛)
●頭頸部外傷・傷害による頭痛(例:外傷後頭蓋内血腫による頭痛)
●頭頸部血管障害による頭痛(例:くも膜下出血)
●非血管性頭蓋内疾患による頭痛(例:脳腫瘍)
●感染症による頭痛(例:髄膜炎)
●ホメオスターシス障害による頭痛(例:高血圧)
●頭蓋骨、頸、眼、耳、鼻、副鼻腔、歯、口あるいはその他の顔面・頸部の構成組織の障害による頭痛あるいは顔面痛(例:顎関節症)
●精神疾患による頭痛(例:心身症)

 

薬を飲んでも治まらないような頭痛に悩まされて神経内科を受診したら、原因は片頭痛ではなく副鼻腔炎だった患者様や、逆に歯や鼻の奥に痛みを感じて歯科や耳鼻科に受診をしても一向に改善せず、実はそれらが頭痛による症状であった患者様もいらっしゃいます。

また、くも膜下出血や脳腫瘍などが原因であれば、1秒でも早く治療する必要があります。突然の激しい痛み・吐き気・手足のしびれなどがある場合は脳血管の病気が疑われるため、すぐに救急車を呼んで医療機関に行かれるようにしてください。

一言に頭痛といっても、いわゆる「頭痛持ちの頭痛」である一次性頭痛や、何らかの障害や病気が原因となる二次性頭痛があり、ひと目では判断がつきません。二次性頭痛の患者様に市販薬を使用しても原因治療にならないばかりか、病気によっては治療が遅れると命に関わることもあります。

頭痛の原因をしっかりと検査・診断してもらえる医療機関を受診し、症状や原因に応じた治療を受けることが大切です。

つらい頭痛の症状は、早めに専門医にご相談を

当院のような神経内科は、脳と脊髄からなる中枢神経と、全身に分布する末梢神経の障害や病気を専門に診る診療科です。神経系は頭のてっぺんから足の先まで全身に分布しているため、症状が体のどの部位から起こっているのか見極めることに長けている診療科といえるでしょう。頭痛を感じたら、まずは全身を診ることができる神経内科にご相談ください。

頭痛に限らずですが、まずは何が原因でそのような症状が起こっているかを見極めることはもちろん、神経内科の専門範囲外であれば、適切な診療科に繋いでいくことが早期治療のカギとなります。

大清水クリニックでは、患者様の症状を和らげ、快適な毎日をお過ごしいただけるよう診療に努力いたします。
また大清水クリニックでは、子供の頭痛はもちろんのこと、めまい・しびれに悩む女性に寄り添った治療もご提案しています。

つらい頭痛・めまい・しびれ等にお困りの方は名古屋市緑区の大清水クリニックへお気軽にご相談ください。

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