子供の自家中毒とは?専門医が教える繰り返す嘔吐症状の原因や対策

子供の自家中毒とは、本質的に大人の偏頭痛の症状と似ていると考えています。子供でも大人同様偏頭痛の症状は現れ、数時間で軽快するものの、周期的に嘔吐や頭痛を繰り返すことから、周期性嘔吐症とも呼ばれています。
子供は自分に起きている症状を周りの大人へうまく説明することが難しい場合も多く、具合が悪そうだとしても、それが頭痛症状による嘔吐(もしくは吐き気)だと見分けることが難しい場合もあります。

自家中毒(周期性嘔吐症)とは、以下のようなメカニズムで起こります。

通常私たちは、ブドウ糖という糖分を燃やして体を動かすエネルギーを作っていますが、自家中毒症の場合は、ブドウ糖をエネルギー源として利用する回路がうまく働かなくなり、脂肪が主なエネルギー源になります。脂肪がエネルギー源として急に燃えると、その過程でケトン体という物質ができます。ケトン体は酸性の物質でリンゴが腐ったような特有の匂いが有り、体に溜まると、吐き気、頭痛、腹痛を催し、脳の嘔吐中枢を刺激し、頻回に吐くようになります。2歳から10歳ぐらいの子どもは、ブドウ糖や脂肪の代謝に関する脳の中枢や、自律神経の機能が安定していません。自律神経には交感神経と副交感神経があります。交感神経は体の活動時や緊張している時に、副交感神経はリラックスしている時に優勢に働きます。子どもに限らず私たちは、交感神経が活発に働くと、脂肪の代謝が盛んになります。この年齢の子どもに肉体的、精神的なストレスが加わると、ストレスに過敏な子は交感神経が優位になり、エネルギー源がブドウ糖から脂肪に代わり、ケトン体が体に溜まって、自家中毒症特有の症状が現れます。
(引用元:おしえて!ドクター健康耳寄り相談室「周期性嘔吐症(自家中毒症)について

幼稚園・保育園程度から自家中毒が始まる?

上でも述べたように、子供でも大人同様偏頭痛の症状が現れる場合があります。
診察をしている経験上、頭痛や吐き気などの症状がある場合は自家中毒(周期性嘔吐)症が疑わしく、発症自体はさらに幼い頃からあると考えられますが、自分の症状を訴えることのできる幼稚園(保育園)年長程度から診察できるのではと考えています。
また、大人では偏頭痛の症状は女性に多いと考えられていますが、大清水クリニックへ来院される患者様への診察では、子供の場合の自家中毒症は男の子の割合が多い印象があります。女性の場合は初潮が始まる頃に症状が出始めることが多い印象です。

自家中毒症状を見分ける難しさ。子供が訴える具体例は?

子供の自家中毒(周期性嘔吐)症は自覚症状が主となるため、自分の症状をはっきりと説明できる年齢にならないと判断が難しいということはもちろんありますが、聞いただけではそれが頭痛からくる嘔吐や気分の悪さだと判断し辛い場合も多くあります。
その場合、子供はどのように訴えるか、以下に大清水クリニックへ来院された際のお子さんの症状の訴え方を例に挙げさせていただきますのでご参考としてください。

【子供の自家中毒(周期性嘔吐症)の訴え例】
①「気持ちが悪い」と言い、ぐったりする
②しばしば吐き「お腹が痛い」と訴える
③部活動(運動系)をすると頭痛や吐き気が起こる
④「登校が嫌」等、一見親の注意を引きたいだけのように見える
※あくまで当院患者様の一例の為、ご参考としてください。

③の運動をすると頭痛や吐き気が起こるパターンは、運動が自家中毒を誘発している可能性がありますので、運動量と頭痛の関係性を観察する必要があります。その場合はご両親からも意見を伺いながら、慎重に診断を進めます。
また④のように原因をはっきり伝えられないことにより、誤解を生じてしまうパターンもあります。(純粋に注意を引きたいだけの場合もありますが。)
学校にいても、急に授業中に症状が出て保健室で休むものの、数時間で軽快するため下校時には元気になっていることから、学校が嫌なのでは、と教師から心配される場合もあると聞きます。

子供の頭痛症状というのは、様々な原因や症状、その表現の仕方、またそれぞれのお子様の性格によっても慎重に判断をする必要がありますので、大清水クリニックでは、大人以上に丁寧に診察、治療をするよう心がけています。

その他、子供の自家中毒で困った症状とその治療法

子供で自家中毒(周期性嘔吐症)のように、偏頭痛の症状を訴える場合、三半規管の感度が良すぎるため、車酔いがひどく、バスでの遠足などに行けない場合も少なくないように見受けられます。
その場合は三半規管の感度を落とすような薬を処方することにより、多少症状を和らげることもできる場合もあります。
それらの薬でもどうしても効かない場合はトリプタンを考えますが、主に大人に使用される薬であり、子供への処方は保険適用外の薬のため、ご両親とよく相談をした上で必要に応じ処方します。

少しでも、子供の辛い頭痛や嘔吐を和らげてあげたい。そんな時、親御さまがお子様のためにできることはなにか。
頭痛専門医の目線で、いくつかアドバイスをさせていただいていますので、こちらの記事もご参考ください。

大清水クリニックでは神経内科専門医が診療を担当し、そのような患者さまの症状を和らげ、快適な毎日をお過ごしいただけるよう診療に努力いたします。
また大清水クリニックでは、子供の頭痛はもちろんのこと、めまい・しびれに悩む女性に寄り添った治療もご提案しています。
つらい頭痛・めまい・しびれ等にお困りの方は名古屋市緑区の大清水クリニックへお気軽にご相談ください。

関連記事

  1. 【専門医監修】子供の頭痛をどう治療する?親ができることは?

  2. 頭痛外来医師が紹介する子供の頭痛の治療法

  3. 【梅雨頭痛】雨の日が続くときの頭痛の原因と対処法は?

  4. 女性の更年期障害の頭痛、肩こりなどの症状と薬について

  5. 耳の後ろが痛む頭痛「後頭神経痛」とは

  6. 二日酔いで起こる頭痛 予防策と対処法

PAGE TOP