めまいは、頭痛と並んで日常的に起こりやすい症状のひとつです。
めまいがひどくなると吐き気を伴うこともあり、「外出先や仕事中などすぐに休めないときにめまいが起きたら・・・」と不安に感じる方も多いのではないでしょうか。
今回は、「めまいが起きたときのために常備薬を持っておきたい」「あらかじめ予測できるめまいに対応したい」という方のために、めまいの緩和・予防に効果が期待できる市販薬と治療薬をご紹介します。また、耳鳴りをより理解するために、耳の構造とめまいが起きる仕組みについても解説しています。
目次
耳の構造とめまいの仕組み
何かのきっかけで起こるめまいや耳鳴り。こうした症状は、耳の異常によって起こることがあります。まずは、耳の構造やめまいや耳鳴りの原因を理解しておきましょう。
耳の構造
私たちの耳は、大きく分けると「外耳」「中耳」「内耳」の3つで構成されています。
外耳は、私たちが見た目に耳と呼んでいる耳介、耳掃除をする外耳道を言います。鼓膜を境に半規管があるまでを中耳、半規管からその先までが内耳です。
外耳、中耳、内耳のうち、聴覚に大きく関わっているのが内耳と呼ばれる部分です。
内耳は、顔の骨に埋もれている部分で、蝸牛と半規管(三半規管)で構成されています。蝸牛は聴覚、半規管は平衡感覚に関与しており、これらの中にはリンパ液と呼ばれる液体で満たされています。
めまいや耳鳴りはなぜ起こるの?
めまいや耳鳴りは耳もしくは脳の異常である場合がほとんどです。そのうち、耳の異常が原因で、めまいと耳鳴りが同時に起こる場合、突発性難聴やメニエール病を疑います。
突発性難聴とは、ある日突然、内耳から脳に音をうまく伝えられなくなる病気です。ストレスや過労、睡眠不足などが関係しており、蝸牛の有毛細胞が傷害されたことで起こると考えられています。
メニエール病は、30~50代の働き盛りに多い、めまいと耳鳴り、吐き気などを伴う病気です。内耳のリンパ液が増える(浮腫む)ことで起こると考えられており、こちらもストレスや睡眠不足、疲労、性格などの要因が関係しています。
このように、めまいは耳の構造と深い関係にあります。疲労やストレスが関係している場合もあるため、まずはしっかりと休むことが大切です。その上で市販薬や治療薬に頼ってみましょう。
なんとなく感じるめまい・・・まずは病気の有無を判別することから
めまいは比較的多くの人に見られる症状です。そのため、軽いめまいの場合は少し休んで様子を見る方も多いのではないでしょうか?
しかし、めまいを起こす背景には脳や耳の病気が隠れていることもあり、安易に自己判断するのは危険です。自分で必要な情報を収集してそれらを参考にしながら、めまいを感じたらなるべく早く医療機関を受診し、検査・診断を受けることが前提となります。
また、ふわふわ浮いているようなめまい・グルグル回転するめまいなど、めまいの感じ方にもタイプがあり、異常(病気)のある部位によってめまいの現れ方が変わってきます。医療機関を受診される際は、どのようなときに起こるのか・めまいの感じ方・持続時間・随伴症状(頭痛・吐き気・手足のしびれなど)の有無など診察に必要な情報を伝えると診断がスムーズです。
診断の結果、脳や耳の病気が見つかれば専門的な治療を受け、そうでなければ生活習慣の見直しとともに市販薬を上手に利用するのも良いでしょう。
痛み止めなどの市販薬を使用する前には必ず医師や薬剤師に相談し、天候・ホルモンバランス・自律神経の失調などがめまいの原因と考えられる場合において使用するようにしてください。
また薬を服用して気分不良や異常があるときはすぐに使用を中断し、再度医師や薬剤師に相談しましょう。
【めまいのタイプ別】めまいの緩和・改善が期待できる市販薬
病院で処方される薬に比べて、市販薬の効能は穏やかです。そのためドラッグストアで気軽に購入でき、一時的な軽いめまいには効果が期待できる一方で、体調や飲み合わせによっては副作用を起こす可能性もあります。
また、めまいのタイプに応じた薬を使用しなければ、せっかく飲んでも効果を実感できません。
また即効性を期待する場合は、医師の処方を受けた治療薬を服用しましょう。
今回はめまいのタイプ別に症状の緩和・改善・予防が期待できる市販薬をご紹介しますが、使用前には必ず医師や薬剤師に相談し、効能や注意点を理解したうえで服用してください。
疲労・ストレス・自律神経失調によるめまい
過度な疲労やストレスが蓄積すると自律神経のバランスが乱れ、疲れが抜けきれない・ぐっすり眠れないなどの不調からめまいを感じることがあります。
最近では、仕事やプライベートでパソコン・スマホを使用する機会が増え、眼精疲労からめまいを引き起こす方も多いのではないでしょうか。
このような疲労・ストレス性のめまいには、ビタミンB群を多く含む「アリナミンEX」や、和漢洋薬がバランスよく配合された「奥田脳神経薬」などで症状の改善が期待できます。
また、症状があるときは十分な休養を取ることが大切です。目の疲れは市販の目薬を使用することで症状が緩和することもあります。市販薬を使用しながら、体そのものを休めましょう。
ホルモンバランスの変化によるめまい
女性の場合、生理や更年期障害といった女性ホルモンのバランスの変化もめまいの原因となります。
ホルモンバランスの変化は自律神経にも影響を与えるため、めまいだけではなく、体の冷え・ほてり・むくみ・イライラ感といった症状が同時に現れる方も多いのではないでしょうか?
このような女性特有の症状を緩和してくれるのが、「命の母A」や「ルビーナ」などの市販薬です。この2つの製剤はともに生薬(漢方)をベースにしており、血の巡りや体内の水分バランスを整え、自律神経の乱れを改善する効果が期待できます。
またホルモンバランスが乱れるのは女性だけではありません。男性にも更年期障害があり「男性更年期障害(LOH症候群)」として認知されるようになってきました。
男性の更年期障害は、男性ホルモンの値が低くなることが原因です。不安感や記憶力・やる気・性欲の著しい低下がみられ、筋力や骨が弱くなることが分かっています。
男性の更年期障害に対しては、病院でのホルモン補充療法のほか、漢方薬の使用も有効です。市販もされている「補中益気湯」「八味地黄丸」「十全大補湯」「芍薬甘草湯」「葛根湯」などの漢方薬はゆっくりですが、男性ホルモンのテストステロンの産生を増加させる効果が期待できます。
頭痛に伴うめまい
頭痛に引き続いてめまいが現れる場合、頭痛を和らげることでめまいも落ち着くことがあります。
脳血管の拡張・炎症によって起こる偏頭痛の場合、消炎鎮痛効果のある「ロキソニンS」や「バファリン」を服用することで、間接的にめまいの緩和が期待できます。1回に使用できる錠数を守り、医師や薬剤師の指示のもとで正しく使用しましょう。
また頭痛の症状があるときは、無理をせず安静に過ごすことが大切です。頭痛の原因は片頭痛や緊張型頭痛、風邪症状によるものなどさまざまあります。まずは、頭痛やめまいの原因を取り除き、そのうえで市販の薬を使用しましょう。
また、なかにはカフェインやアルコール、気圧や天気などが引き金となって頭痛が起こるものもあります。原因がはっきりとわかっている場合は、そうした原因を避けることも大切です。
天候・気圧の変化に伴うめまい
最近よく耳にするのが、「気象病」「低気圧不調」などの天候・気圧の変化によって起こる不調です。
主な症状は頭痛・めまい・吐き気・疲労感などで、気圧の変化によって体内の水分バランスや自律神経が乱れることが原因です。このようなめまいに対しては、「テイラック」「キアガード」などの市販薬があります。
いずれも漢方(五苓散)がベースの処方となっており、体内の水の巡りを改善し、血行促進・鎮痛・めまいの緩和が期待できます。
そのほかの漢方では「五苓散」「桂枝茯苓丸」「当帰芍薬散」などがおすすめです。これらは血流の乱れを整えたり、血の滞りを整えたり、冷えや貧血を改善したりする効果が期待できます。
天候や気圧が原因でめまいが起きているときは、耳を揉んだり引っ張ったりするなどのマッサージで症状が緩和されることもあります。入浴時や入浴後などリラックスした状態で、マッサージを行うのも良いでしょう。
【めまいの予防】めまいを事前に防ぐ市販薬
めまいを緩和させる市販薬の中には、事前に服用することでめまいの予防効果が期待できるものもあります。ただし、これらの薬も効く・効かないなどの効果は個人差があります。症状がつらい場合は医療機関を受診しましょう。
ビタミン製剤
ビタミンB群はめまいの緩和に効果的な栄養素ですが、その中でもビタミンB12は末梢神経の代謝を改善する効果が高く、病院でもめまいや耳鳴りの治療薬としてよく使われています。
先ほどご紹介した「アリナミンEX」のほか、ビタミンB群を多く含むサプリメントもおすすめです。普段の食事でもビタミンB12を多く含む魚介類やレバーを意識して摂るようにしましょう。
また普段の食事でも意識してビタミンを摂取することで、めまいをはじめとした症状を予防することができます。特にビタミンB12を多く含む魚介類やレバーを意識して摂るようにしましょう。
漢方薬
体内の水分代謝がうまくいかないことで起こるめまい・立ちくらみに対しては、水の巡りを改善する「苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)」「五苓散(ごれいさん)」を服用することでめまいの予防が期待できます。
これらの漢方は、即効性というより飲み続けることで体質を改善させるのが特徴です。先ほどご紹介した「テイラック」や「キアガード」も、痛みが強くなってからではあまり効果がなく、予防的に服用するか症状が出始めてすぐの服用が推奨されます。
漢方は種類が多く、その人の体質に合ったものを使用するとより効果を高めてくれます。自分に合う漢方が分からない方は、漢方薬に精通している医師や薬剤師に相談するとよいでしょう。
乗り物酔いの予防薬
車・バス・飛行機など、乗り物酔いによるめまい予防には、「トラベルミン」「アネロン・ニスキャップ」などの市販薬があります。これらの製剤には自律神経の興奮を抑え、平衡感覚の乱れを改善する効果が期待できます。
乗り物に乗る30分前の服用で、めまいや吐き気などの症状が現れるのを予防します。
医療機関の受診を!めまいの代表的な病気
疲労・ストレス、ホルモンバランス、頭痛、天候・気圧などによるめまいは、市販薬を使用しながらある程度コントロールすることができます。しかし、めまいが日常的に続いたり、それ以外の症状があったり、急に激しいめまいや頭痛、立っていられないなどの症状がある場合は要注意です。
これらの症状を伴う場合は、医療機関を受診して適切な治療を受ける必要があります。ここからは、頭や耳などの病気が原因で起こるめまいの病気を紹介します。
良性発作性頭位めまい症(BPPV)
良性発作性頭位めまい症は、頭を動かしたときに、自分自身あるいは周囲のもの、またはその両方が動いたり回転したりしているような感覚が短時間続くめまいです。
目が覚めたあとに寝返りをしたときや、伸びをしようとして頭を後ろにのけぞらせたときなど、頭の位置を変えたときに引き起こされるのが特徴です。
良性発作性頭位めまい症の原因は、正常であれば内耳の一部分に収まっている耳石と呼ばれるカルシウムの粒が剥がれて、内耳の別の部分に入ることで起こるとされています。これは、耳の感染症や頭部や耳のケガ、長期間ベッドで安静にしていたことなどが原因です。
メニエール病
メニエール病は、激しいめまいやふらつき、難聴、耳鳴りをくり返す病気です。
これらの症状は、聴覚やバランス感覚をコントロールしている耳の中の「内耳」と呼ばれる組織が何らかの原因で浮腫んで「内リンパ水腫」と呼ばれる状態になるために起こります。
メニエール病によるめまいは、症状が10分から数時間程度持続します。また、めまいの前兆として、ふらつきや耳閉塞感を感じることがあります。
これまで、この病気の発症には不安やストレスが関係しており、30~40代の女性に発症しやすいと言われていました。しかし、現在では高齢の男性にも起こることが増えています。
前庭神経炎
前庭神経炎は、自分が回っているように感じたり、周囲が回っているように感じたりするような激しいめまいに加え、吐き気や嘔吐を引き起こす病気です。
良性頭位性発作めまい症は、しばらく安静にしていれば症状が治ることがありますが、前庭神経炎は安静にしていてもなかなか収まらず、動くと余計悪化するのが特徴です。
ただし、脳卒中によるめまいとは異なり、生命に危険を及ぼす病気ではありません。
前庭神経炎は、内耳から脳に情報を伝えている前庭神経が、風邪などのウイルス感染が原因ではないかと考えられていますが、まだ詳しいことは分かっていません。
突発性難聴
突発性難聴は、明らかな原因がないにも関わらずある日突然、片方のあるいは両耳の聞こえが悪くなる病気です。
はっきりとした原因は分かっていませんが、睡眠不足や疲労の蓄積、ストレス、多量の飲酒、糖尿病などが先行して起きている場合が多く、これらによって耳の中の血管が障害されたり、抵抗力が低下してウイルス感染を引き起こしたりすることが関係しているのではないかと考えられています。
この突発性難聴は、治療が遅れるほどに治りにくいことが分かっており、少なくとも発症から2週間以内、できれば症状が出てから1週間以内に治療を開始することが望ましいでしょう。
脳卒中
脳卒中とは「脳梗塞」「脳出血」「くも膜下出血」などの病気の総称です。脳の血管が詰まったり破れたりすることで、脳の一部の働きが悪くなって身体の働きが悪くなることで知られています。
早く治療を開始しなければ、命に関わることもあるため以下のような症状に特に注意が必要です。
●片方の手足や顔半分の麻痺、しびれが起こる
● ろれつが回らない、言葉が出ない
● 力はあるのに体のバランスが取れずフラフラする
● これまで経験したことのないような激しい頭痛やめまいがする
これらの症状は、1つだけ出現する場合もあれば、複数の症状が出現することもあります。重篤な場合には意識不良になることもあるため、一刻も早い受診が必要です。
【病院処方】めまいの治療薬
めまいが続く場合は、一度医療機関を受診することをおすすめします。詳しい検査を受けることで、原因を突き止めて症状にあった薬を処方してもらうことができるでしょう。
ここでは、めまいの治療に使用される代表的な薬を紹介します。これらの薬を使用する際は医師や薬剤師の注意事項を守りましょう。
内耳の血流改善|ジフェニドール
ジフェニドールは、内耳や脳の椎骨動脈の血流を改善して、神経の興奮を抑えてめまいを抑える治療薬です。内耳障害に基づくめまいの治療に用いられます。
めまいの改善|メリスロン
メリスロンはメニエール病などのめまい症状に対して処方される治療薬です。脳や内耳の血管を広げて血流を改善します。
耳鳴りの改善|アデホス
アデホスもメニエール病や内耳障害のめまいの改善に使用される治療薬です。また、心不全や慢性胃炎、眼精疲労の治療にも用いられることがあります。
「強いめまい」「いつもと違うめまい」を感じたら早めに専門医にご相談を
ドラッグストアで手に入るめまいの改善薬・予防薬をご紹介しましたが、市販薬はあくまでも一時的な対症療法です。
めまいを自覚した場合、まずは医療機関で診察を受け、脳や耳などの病気ではないことを確認した上で市販薬を使用しましょう。とくに、ふわふわするめまい・グルグル回転するめまいの場合は脳や耳の病気が疑われますので、安易に市販薬で様子を見るのは危険です。非常に強いめまい・手足のしびれや会話のしにくさを伴うめまいの場合、すぐに医療機関を受診しましょう。
また、飲み合わせによっては薬の効果が強く出過ぎたり、副作用が現れたりすることもあるため、必ず医師や薬剤師に相談してから服用するようにしてください。
当院ではめまいの検査・診断はもちろん、お薬のご相談も承っております。少しでも気になることがあれば、いつでもご相談ください。
大清水クリニックでは、患者様の症状を和らげ、快適な毎日をお過ごしいただけるよう診療に努力いたします。
また大清水クリニックでは、子供の頭痛はもちろんのこと、めまい・しびれに悩む女性に寄り添った治療もご提案しています。
つらい頭痛・めまい・しびれ等にお困りの方は名古屋市緑区の大清水クリニックへお気軽にご相談ください。










