耳の後ろが痛む頭痛「後頭神経痛」とは

耳の後ろ側に起こるジリジリ・ジンジンとした痛み。こめかみに近い位置に起こるため頭痛の症状の一つと考える方もいるでしょう。しかし、耳の後ろ側に起こる不規則に繰り返す強い痛みは「後頭神経痛」と呼ばれる神経痛かもしれません。

今回は、後頭神経痛の原因や症状、予防法、対処法などのポイントを専門医が解説します。また耳の痛みで考えられる原因や緊張型頭痛や片頭痛との違い、何科を受診すべきかなども紹介します。

後頭神経痛

後頭神経痛は、頭皮の感覚神経に起こる神経痛の一種です。後頭神経痛は、後頭部や耳の後ろ側などを走行している感覚神経の大後頭神経、大耳介神経、小後頭神経に起こる痛みが特徴です。それぞれ痛む場所は異なりますが、痛みの質や程度は同じと言われています。

何らかの理由で皮膚の神経が過敏になると、ジリジリ・ピリピリ・ジンジン・ズキズキとした強い痛みが不規則に発生します。後頭神経痛が起こると、大きな病気を心配してしまいますが、1週間ほどで自然に治る場合がほとんどです。

原因

後頭神経痛は、後頭神経が何らかの理由で刺激されることで発生すると考えられています。例えば、ケガやむち打ち、血管が神経を圧迫する、頭部や首の手術による腫れや刺激などです。

猫背や長時間のパソコンやスマホ、事務作業などの同じ姿勢をとり続けることも後頭神経痛の原因です。精神的なストレス、肩こりが強い人も発生しやすいと考えられています。

また、単純ヘルペスや帯状疱疹などの感染症や、関節リウマチや変形性頚椎症などの骨の異常によっても引き起こされます。

ただし多くの場合は、原因不明で、ほかの病気と区別するためにMRI検査や血液検査などの詳しい検査を行ったうえで診断し、治療方針を決定します。

症状

後頭神経痛は、以下のような症状が特徴です。

・ジリジリ・ピリピリ・ジンジン・ズキズキなどの不規則な強い痛み
・耳の後ろ側が痛む
・片側の後頭部から頭頂部が痛む
・電気が走るような痛みを繰り返す
・頭痛がないときでも頭部の違和感としびれがある
など

上記以外にも、痛みや違和感を伴うことがあります。症状が強いときや、1週間以上続く場合には医療機関を受診しましょう。

予防法

後頭神経痛の予防には、首や肩の筋肉のコリやこわばりにつながるような姿勢のまま長時間過ごさないことが大切です。仕事でパソコンに長時間向かう人や、勉強で前かがみの姿勢が続く人は注意しましょう。

長時間同じ姿勢をしたことで首や肩の筋肉がこわばっていると感じたときは、首や肩のコリをほぐす腕回しの体操をしたり、ストレッチやマッサージをしたりして休憩をとることが大切です。

対処法

後頭神経痛の症状があるときは、まずは安静になることが大切です。静かな場所で横になり、しばらく休みましょう。痛みが続くときや痛みが強いときは、痛み止めを服用してください。
激しい痛みがあるときや、嘔吐症状、手足のしびれなどがある場合は我慢せず、すぐに医療機関を受診しましょう。

耳の痛みで考えられる原因は?

耳が痛くなる原因は数多くあります。耳の中に起こる病気としてよく知られているのが、鼓膜の奥にある中耳が炎症を引き起こす中耳炎です。

耳の周囲に痛みが起こる病気としてよく知られているものとして、三叉神経痛や顎関節症などの疾患があります。この2つは、後頭神経痛と同じように何らかの原因で神経が刺激されることで起こるのが特徴です。
後頭神経痛があるときは、発生している部位や症状からほかの神経痛と区別する必要があります。

風邪の頭痛や片頭痛、緊張型頭痛との違いは?

後頭神経痛の症状は後頭部や頭頂部、耳の後ろに電気が走るような痛みを特徴とした神経痛ですが、風邪症状の頭痛や片頭痛、緊張型頭痛とも異なります。

しかし、症状として似ている部分もあるためそれぞれの特徴を理解しておくことが大切です。

風邪による頭痛

風邪による頭痛は発熱を伴うときや寒気があるときに起こります。後頭神経痛と大きく異なるのは、ウイルスや細菌が原因で頭痛以外にもせきや鼻水、鼻づまり、吐き気、筋肉痛など複数の症状が現れることです。

風邪の症状がある場合は、まずは安静に過ごすことが大切です。そのうえで、頭痛が治まらないときは薬を服用して、長引くときは医療機関を受診しましょう。

片頭痛

片頭痛はこめかみから目のあたりが、ズキズキと脈打つリズムで痛みを伴う頭痛です。

後頭神経痛は後頭部付近に電気が走るような痛みであるのに対して、片頭痛はこめかみを中心にズキズキと痛むという違いがあります。

片頭痛はその名の通り、左側・右側どちらか片側に起こるのが一般的ですが、両方の場合もあります。片頭痛のはっきりとした原因はわかっておらず、完璧主義・神経質の人、女性などに起こりやすいのが特徴です。

さらに、特定の環境や食べ物、気圧や気候などが片頭痛を誘発することもあります。

特に女性は生理前などのホルモンバランスが乱れにより片頭痛が起こりやすいことが分かっています。

緊張型頭痛

緊張型頭痛は首や肩の筋肉が過剰に緊張し、周囲の血管や神経が圧迫されて起こる頭痛です。長時間のパソコンや無理な姿勢による血行不良や自律神経バランスの乱れが原因で、後頭部から首にかけての圧迫感や、ギューッと締め付けるような・押すような痛みが特徴で、やはり後頭神経痛とは痛みの感じ方が異なります。

緊張型頭痛は長時間ダラダラと続くこともあり、頭痛のほかに肩こりやめまい、倦怠感などの症状が現れることもあります。

耳の後ろが痛むときに考えられる病気

耳の後ろが痛むときに後頭神経痛以外で考えられる病気は次のようなものがあります。

リンパ節炎

リンパ節は全身に分布する小さな器官です。感染やがんの拡大を阻止する防御機能が備わっています。

このリンパ節中には血管からにじみ出た水分や白血球、タンパク質、脂肪などを含んだ透明な液体「リンパ液」が通過しています。リンパ節炎になると、リンパ節がウイルスや細菌感染を起こし痛みや炎症(赤みや圧痛)を引き起こします。

リンパ節は耳の後ろにもあり、この部分が腫れたり痛んだりすることもあります。

流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)

流行性耳下腺炎はいわゆる「おたふくかぜ」の名前で知られています。両側あるいは片側の耳周辺の耳下腺と呼ばれる部分が腫れてしまう病気です。

耳の後ろの痛みの他に、発熱や物を噛むときに痛み、頭痛、筋肉痛、倦怠感などの症状が現れます。

流行性耳下腺炎の原因は「ムンプスウイルス」で、感染者のつばやくしゃみ、咳などの飛沫で感染します。感染力が高いことでも知られており、特に小さなお子さんのいる保育園や幼稚園、学校などで冬の季節に大流行するのが特徴です。潜伏期間は2~3週間ほどで、通常は1~2週間でよくなります。

顎関節症

顎関節症は、「口を開けるときの痛み(開口時痛)」「口が開かない(開口障害)」「あごからカクンカクンという音が鳴る(関節雑音)」などの症状と特徴とするあごの病気です。

原因はさまざまですが、噛み合わせの悪さや歯ぎしり・食いしばり、これまでの生活習慣のクセ、ストレス、外傷などが原因であごに負担がかかっていることで発症します。

あごの痛みが特徴ですが、頭痛や肩こり、耳鳴り、目の疲れなど、あご以外の痛みが現れることもあります。

帯状疱疹

帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルスによって起こる感染症です。初めて感染したときは「水ぼうそう」として区別されます。

多くの場合、水ぼうそうは子供の頃に発症して、全身に赤い発疹が現れます。通常は1週間程度で治りますが、発疹が治っても体の中の神経節にウイルスが潜伏したままになります。

ウイルスが潜伏しているからと言って、通常は悪さをすることはありません。しかし、加齢やストレス、過労などが原因で免疫力が低下するとウイルスが再び活性化して神経を伝って赤い発赤が起こります。

帯状疱疹になると、数日から10日程度神経痛のような痛みが現れます。その後、体の片側の神経に沿って、帯状の赤い発疹が出現します。強い痛みが特徴で、顔に起こると顔面神経痛や後頭神経痛、耳鳴り、難聴などの症状が現れることがあります。

耳の後ろが痛むときは何科を受診すべき?

耳の後ろが繰り返し不規則に痛むときは、まずは内科を受診しましょう。立っていられないような激しい痛みと吐き気、しびれがあるときは救急要請をします。

耳の中や奥が痛むときや、聞こえにくいと感じるときは耳鼻科を受診しましょう。

 

まとめ

後頭神経痛は、何らかの理由で後頭神経が刺激されたことで起こります。原因はさまざまで、最近では長時間同じ姿勢でパソコンや事務作業をしていることも発生の要因になっています。

適度な休息や、ケガを予防することで予防することができますが、症状が現れたらまずは安静に過ごすことが大切です。激しい痛みや症状が長期間続く場合は、ほかの病気の可能性があります。しびれのほかにろれつが回らない、手がしびれる、歩行が難しいなどの症状があればすぐに医療機関を受診しましょう。

大清水クリニックでは、患者様の症状を和らげ、快適な毎日をお過ごしいただけるよう診療に努力いたします。また大清水クリニックでは、子供の頭痛はもちろんのこと、めまい・しびれに悩む女性に寄り添った治療もご提案しています。

つらい頭痛・めまい・しびれ等にお困りの方は名古屋市緑区の大清水クリニックへお気軽にご相談ください。

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