更年期・更年期障害の症状として、頭痛が吐き気を伴うほどひどくなってしまう症状もあります。
なぜ更年期にそのような頭痛症状が悪化してしまうのか、どのような薬が有効なのか、頭痛外来医が解説します。
目次
更年期に頭痛が起こる原因
更年期に頭痛が起こる理由は、女性特有の身体の仕組みによるものが大きいです。
排卵時と月経期に卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)が入れ替わる内部環境の変化に体がすぐに適応できず、そこで頭痛という症状として現れるのです。
女性の体調は、この2種類のホルモンバランスにより大きく変化することがあります。
エストロゲン(卵胞ホルモン)
女性らしいからだ作りを助けるホルモン。生理とも密接に関係し、12歳頃から分泌量が増え、閉経を迎える更年期の頃にかけ生理周期に合わせ分泌量の増減を繰り返しながら徐々に減っていきます。肌や髪のうるおいを保ったり、自律神経を安定したりする女性に嬉しいホルモンのため「美人ホルモン」と呼ばれることも。
プロゲステロン(黄体ホルモン)
エストロゲンとともに周期的に分泌され、女性の妊娠を促すホルモン。子宮を柔らかくし、妊娠の準備を整えます。妊娠が起きた場合は分泌が継続し、子宮内膜を維持しますが、妊娠が起きない場合は、子宮内膜が剥がれ落ち、生理が起きます。
エストロゲン・プロゲステロンのホルモン変化周期
更年期になるとさらにホルモンバランスが悪くなり、特にエストロゲンが急激に減少するため、頭痛の症状が悪化することがよく見られます。
これが、更年期の女性に多く見られる頭痛症状の原因の一つです。
このホルモンバランスが崩れることで、自律神経が乱れ、頭痛ともに吐き気を伴う場合があるのです。
この時期を過ぎると頭痛も治まりますので、大清水クリニックではこの期間のみ集中的な頭痛の治療をお勧めしています。
更年期障害特有の頭痛へのアプローチも千差万別のため、患者様一人ひとりにフィットした治療方法を探します。
大清水クリニックでは、皆様が快適な毎日になるようお手伝いをさせていただいております。
更年期は生理周期が短くなったり、長くなったりする?
女性は、一般的に35歳頃から卵巣の機能が低下し、生理周期が短くなったり反対に長くなったりする傾向があります。
生理が月に2回あったり、不正出血したりなど症状はさまざまですが、これらの症状も更年期に入りエストロゲンの分泌量が減少したためです。
減少したホルモンをさらに分泌するために性腺刺激ホルモンがさらに活発になると、一時的に生理周期は短くなります。
この時期を過ぎると、今度は生理周期が徐々に長くなっていき、閉経を迎えます。この時期に起こる様々な体の不調を更年期障害と呼び、生理痛や経血の量の悩みに加えて、頭痛や吐き気、肩こり、イライラなどの症状を招きます。
35歳を過ぎて頭痛や吐き気、肩こりなどの症状がある場合は生理周期の乱れがないか確認してみましょう。
ただし、更年期に起こる症状は個人差があります。
生活に支障をきたすほどの症状があれば早めに専門医に相談してください。
更年期に増える高血圧にも注意
更年期になると、のぼせやほてりなどの症状だけでなく、血圧の数値が悩みのタネになっているという方もおられます。
更年期を迎えると、女性の体は閉経に向けてエストロゲンの分泌量が急激に減少していきますが、このエストロゲンの減少が血圧にも関係しているのです。
エストロゲンの量は、脳の視床下部と呼ばれる部位で調整しています。
更年期を迎え、エストロゲンの量が少なくなると、視床下部はエストロゲンを増やそうと働きます。
すると、視床下部が調整している自律神経の働きが不安定に。
自律神経は血圧の上げ下げにも関与しており、自律神経の働きが不安定になることで、血圧のコントロールが上手くいかず高血圧を引き起こしてしまうのです(※ただし、高血圧は肥満や運動不足なども大きく関係しています)。
更年期は血圧が変動しやすい
更年期は血圧が不安定で変動しやすいという特徴があります。
めまいや頭痛、吐き気などの更年期に起こりやすい症状により血圧が上がったり、イライラや睡眠不足によって血圧が高くなったりする傾向にあります。
これらの原因は、更年期特有の不安やストレスが関係していることも。
更年期は子どもの進学や就職、独立や親の介護が始まる、仕事で責任のある立場を務めているなど不安やストレスを抱えやすい立場でもあります。
血圧が不安定に感じるときは、医療機関で相談するようにしましょう。
更年期の血圧を改善するには?
血圧の数値が不安定なときは、「バランスの良い食事」「適度な運動」「急激な温度変化に注意」「ストレスを溜めない」を意識しましょう。
高血圧を改善するためには、塩分を控え肉・魚・野菜などバランスの良い食事を摂ることが大切です。
また、適度な運動を心がけて、肥満を予防することも高血圧予防になります。
急激な温度変化は血圧値に影響します。
更年期になると、ほてりを感じやすいため、体温調節のしやすい衣類を身につけましょう。
最後に、ストレスを溜めないことも大切です。家族や友人と話をしたり趣味の時間を作ったりして、うまくストレス解消しましょう。
更年期女性の頭痛と肩こり
当院へいらっしゃる女性の患者様には、頭痛とともに肩こりにお悩みの方もいらっしゃいます。
肩こりも女性に多く見られます。
具体的には、肩周辺が痛んだり、こわばったり、怠くなったりする症状で、肩以外にも首から背中にかけての部分にも症状が現れやすくなり、中高年層に発症頻度が高いともされています。
肩こりは、肩甲骨から首の間の筋肉が緊張して、血行が悪くなり、乳酸などの疲労物質が筋肉の中に溜まることで生じます。
人間の体は首だけで頭部を支える構造になっているため、その重みで首と肩には負担がかかります。
腰痛も、腰の骨に負担がかかり、血行が妨げられ乳酸が溜まって生じます。また、骨格がゆがんで神経を圧迫することで、痛みが出る場合もあります。
さらに、女性は男性に比べて、肩の周りの筋肉や腰の周りの骨を支える筋肉が弱いために、症状が出やすいのです。
特に更年期以降では加齢による筋骨格系の老化と様々なストレスなどの社会的背景から肩こりが増加すると考えられています。
また、肩こりの症状がひどくなると頭痛や吐き気などの症状が起こることも。
肩や背中が緊張するような前かがみなどの姿勢での作業や猫背の人、運動不足、ストレス、ショルダーバックによる荷重、冷房がついている環境などの人は、肩こりが起こりやすいです。
日常的にこれらの原因に当てはまる人は、頭痛や吐き気などの症状が起こりやすくなるため、作業の合間にストレッチしたり、肩を温めて血行を良くしたりするなどの対策を行いましょう。
参考サイト:更年期ラボ_肩こり・腰痛・背中の痛み
肩こりと頭痛の治療法
治療としては方の緊張をほぐすお薬がよく効きます。一時的に頭痛がひどくなった場合には鎮痛剤も使用します。
頭痛に対する漢方薬のお問い合わせも頂きます。
頭痛に対する漢方薬の処方については、基本的には有効であるエビデンスが少なく、頭痛ガイドラインでも推奨されておりませんので、当院では積極的には推奨しておりませんが、患者さまが有効であると判断される場合は漢方薬も処方することがございます。
おひとりお一人の症状によりますので、まずはお気軽にご相談ください。
更年期の頭痛や吐き気、肩こりと上手に付き合おう
更年期の頭痛はホルモンバランスの崩れにより起こる一時的なものではありますが、いつも笑顔でいることが難しくなってしまうような辛い頭痛は少しでも軽くしていただきたいと思っております。
大清水クリニックではそのような患者さまの症状を和らげ、快適な毎日をお過ごしいただけるよう診療に努力いたします。
また大清水クリニックでは、頭痛はもちろんのこと、めまい・しびれに悩む女性に寄り添った治療もご提案しています。
つらい頭痛・めまい・しびれ等にお困りの方は名古屋市緑区の大清水クリニックへお気軽にご相談ください。