【専門医による】寝起きや朝に起こるめまいの悩み。原因や対策を解説

「目覚めとともにめまいを感じる」「ベッドから起き上がるとフラフラする」など、起床後のめまいにお悩みの方はいませんか?
このような症状が頻繁に続くようになると、ベッドから起き上がること自体が憂鬱になってしまいます。一日を気持ち良くスタートさせるためにも、不快なめまいの症状を解消したいですね。

今回は、「起床後に感じるめまい」をテーマに、その原因と対策について解説します。症状にお悩みの方はぜひ参考にしてください。

 

起床後のめまいはなぜ起こる?

「ベッドから起き上がるとフラフラする」「起床後のめまいで朝が憂鬱」など、朝からめまいに悩まされる方は少なくありません。
このような起床後のめまいを起こす理由のひとつに、「脱水症状」があります。「脱水症」と聞くと真夏や炎天下での熱中症を想像する方もいると思いますが、季節を問わずいつでも起こるのが特徴です。

とくに、夜間であっても就寝中は想像以上に汗をかきます。一節では、適温の室内で睡眠をとった場合に約500mlの汗をかくと言われており、ペットボトル1本分もの水分が失われていることになるのです。
人は汗をかくと、体内の水分とともに塩分やカリウムなどの電解質も失います。するとどうなるかというと、水分量が減ることで全身を循環する血液量が減り、結果としてめまいを引き起こします。
また、塩分やカリウムなどの電解質が減ることで血圧が低下し、めまい・立ちくらみ・倦怠感などの不快な症状を引き起こすのです。
さらに、更年期の方はホルモンバランスの影響で寝汗をかきやすくなったり、加齢とともに喉の乾きを感じにくくなったりと、年齢による体の変化も相まって脱水症を起こしやすくなります。
脱水症は真夏に限ったことではなく一年を通して注意が必要であり、睡眠中も脱水症になる危険性があることを理解しておきましょう。

 

気持ちの良い目覚めのために~普段からできるのめまい対処法

寝汗による水分・電解質の喪失や、それによる血圧低下が「起床後のめまい」の主な原因です。
では、どのような対策をとれば気持ちの良い朝を迎えることができるのでしょうか?睡眠中の脱水症状を予防するために大切なポイントをいくつかご紹介します。

普段から食事・水分をしっかり摂る

まずは、日頃から食事・水分をしっかりと摂ることです。
脱水症はある特定のタイミングで起こるというよりも、数日前からの水分不足が積み重なって発症します。そのため、普段から1日3食しっかり食べ、喉が渇いていなくてもこまめに水分補給をすることが大切です。

就寝前・起床後にコップ1杯の水分を摂る

先程もお伝えしたように、就寝中は約500mlもの寝汗をかきます。
就寝前・起床後にそれぞれコップ1杯の水分摂取をするとともに、喉の乾きで目覚めた際にすぐ水分補給ができるよう、ベッドサイドに水や麦茶を常備しておくと良いでしょう。

十分な睡眠をとる

寝不足や中途覚醒は睡眠の質を著しく低下させます。そのような状態が続くと睡眠中の発汗量が増加し、さらに脱水症を招きやすくなります。
十分な睡眠時間の確保を心がけるとともに、リラックスできる寝具や照明などで睡眠の質を上げることも大切です。

就寝前の深酒は控える

眠れないからと言って、就寝前に多量のアルコールを摂取するのはNGです。
アルコールの摂りすぎは睡眠の質を悪化させるだけでなく、利尿作用によって脱水症や血圧低下を招く恐れがあります。

このように、ちょっとした生活習慣の心がけで寝起きのめまいを改善できます。まずは、できることから実践してみてください。

睡眠環境を整える

夏の熱中症の約4割は夜間に起きています。そのため、寝具やパジャマなどを見直して、睡眠環境を整えることが大切です。

敷きパットはクールダウンできる冷感素材のものや吸収性・通気性に優れているものを選ぶのもおすすめ。パジャマも吸汗性があるものを選び、翌日に疲れを残さないような睡眠環境を作りましょう。

また、寝室ではエアコンや扇風機を上手く活用しましょう。扇風機やエアコンの風邪は、体に直接風を当てるのではなく、室内に風の対流を起こすようにすると室温が均等になり涼しく感じます。タイマー機能を活用しながら、上手に対策しましょう。エアコンや扇風機が苦手な方は氷枕を活用する方法もあります。低温やけど予防のため、タオルに包んで使用しましょう。

気持ちの良い目覚めのために、今回紹介した普段からできるめまい対処法を取り入れてみましょう。

 

女性に起こりやすいタイプのめまい

脱水症状や血圧低下以外にも、起床後のめまいとして考えられるものに「メニエール病」や「良性発作性頭位めまい」があります。この2つのめまいは、耳に関係する病気です。

メニエール病

メニエール病は、内耳(耳の奥)にあるリンパ液が増加し、それによって内耳がむくんでしまう病気です。回転性のめまいとともに耳鳴りや難聴を伴うのが特徴で、はっきりとした原因は不明ですがストレスが影響すると言われています。

メニエール病で強い発作で嘔気が強く、薬の服用ができない場合は、安静の上でめまい止めの点滴を行います。内服ができる場合は、めまい止めや利尿剤、ビタミン剤などを組み合わせて使用します。メニエール病はストレスや睡眠不足、疲労が大きく関与しています。症状を悪化させないためにも、リラックスすること・ストレスを溜めないことが重要です。

 

良性発作性頭位めまい

良性発作性頭位めまい症はめまいを主症状とする病気のなかでもよくみられる病気です。頭の位置が変化して内耳にある後半規管が刺激されると、それに反応して動いたり回転したりしているようなふわふわとした感覚が起こります。

良性発作性頭位めまいは、内耳にある「耳石器」と呼ばれる部分が関係しています。耳石器には「耳石」と呼ばれる炭酸カルシウムでできた小さな結晶が存在し、これが剥がれ落ちることでめまいを生じます。
このタイプのめまいは女性に多く、寝返りを打ったり寝た状態から起き上がったりと、頭を動かす動作によってめまいが引き起こされます。
めまいを予防するため起床時はゆっくりと起き上がり、頭を大きく動かすような動作は避けましょう。薬物療法や理学療法で改善するケースもありますが、難治性の場合は手術が適応となることもあります。

良性発作性頭位めまいの原因

良性発作性頭位めまいは、耳石が剥がれ落ちることでめまいを生じます。加齢により耳石が剥がれ落ちるため起こることが多いですが、そのほかには以下が考えられます。

・耳の感染症
・頭または耳のケガ
・長時間の床上安静
・耳の手術
・メニエール病などのほかの内耳の病気
・内耳につながる動脈の閉塞

良性発作性頭位めまいの症状

良性発作性頭位めまい症の症状は、短時間の回転性めまいと吐き気、嘔吐です。自分自身や周囲のものが動いたり、回転したりしているかのようなめまい(回転性のめまい)、ふわふわしているように感じることもあります。

吐き気や嘔吐の症状が起こることはあるものの、身体への影響はなく簡単な運動で消失するか自然に消失します。

回転性めまいは、ベッドでの寝返りや、物の拾う際に腰をかがめたときなど、頭が動いたとき起こります。発作は数秒から数分程度と短いですが、数日から数週間の間に何度も発作が起きることもあります。

症状自体は危険なものではありませんが、乗り物の運転中や、危険を伴うような作業状況で発作が起きると、事故につながる可能性があるため注意が必要です。

 

長引くめまいは専門医に相談を

起床時のめまいは朝から憂鬱な気分になり、日常生活に支障をきたすこともあります。
脱水症状や低血圧の場合、日頃の生活習慣や体調管理で改善するケースも多く見られますが、耳や脳が原因の場合は専門的な治療が必要です。
「一時的なめまいだから・・・」と放置してしまうと、重篤な病気を見逃したり難聴が悪化したりすることもあります。
めまいの症状が重くなる前に、ぜひ一度専門医にご相談ください。

大清水クリニックでは、患者様の症状を和らげ、快適な毎日をお過ごしいただけるよう診療に努力いたします。
また大清水クリニックでは、子供の頭痛はもちろんのこと、めまい・しびれに悩む女性に寄り添った治療もご提案しています。
つらい頭痛・めまい・しびれ等にお困りの方は名古屋市緑区の大清水クリニックへお気軽にご相談ください。

 

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